町の人気者、「座間のわっか」の“わか&ねね”

抱っこがあまり得意ではないわか&ねねと、小木直樹・直見ご夫妻、奇跡の? 4ショット

道を歩いていると、建物のガラス戸越しに猫が見えた。キャットタワーの上から黒猫がこちらを眺めている。店なのかな? 猫カ
フェでもペットショップでもないようだけど……。おや、奥にはもう1匹、猫がいる!

看板は出していないが、ここはケアコミュニティ、訪問介護と居宅介護支援の事業所だった。ただ、介護用品が並んでいるわけで
も、人が多く事務仕事をしているわけでもない。真っ先に迎えてくれるのは猫なのである。

「看板猫〝わか&ねね〟が待っています。いつでも遊びに来てください」とメッセージする小木直樹・直見ご夫妻が、この場所に事務所を開いたのは7年前。開所間もない夜、事務所前で保護したのが、黒猫「わか」(♂・現在7歳)なのである。

キャットタワーの上が、わかの定位置。道行く人を見やすいのかな?このタワーも近所の猫好きさんが譲ってくれたもの

 

ねねは事務所の奥にいることが多いが、食いしん坊なのでおやつを持って会いに行きたい

 

「わかはまさしく招き猫でした。この地にまだ基盤がなかった私たちに、人の輪をもたらしてくれたんです」と直見さん。子猫を保護したことで、ご近所の猫好きさんたちと知り合い、ネットワークができ、さらには事業も軌道に乗ってきたのだという。

「事務所の名前『座間のわっか』は、地域の〝わっか〟を広げたいという思いを込めています。『わか』という名前も、ここから名づけたんですよ。だから介護関係に限らず、子どもからお年寄りまでどなたでも、猫きっかけで興味をもって遊びに来てくだされば嬉しんいです」。

そんな小木夫妻の志(こころざし)を体現したかのように、わかは大の人好きで人招き猫だ。ガラス越しにずっと道行く人を眺めていて、声をかけられれば相手に聞こえていようがいまいが、必ず律儀に「にゃあ」と返事を返す。

さらに馴染みの大好きな人が来ると、ずいぶん前から察知し、いそいそと出迎える。「かわいいね」と言われておやつの差し入れをもらえば、なおのこと嬉しい。

ご近所さんが今日も挨拶に来てくれた。日頃は人見知りのねねも 「こんにちは」

 

わかの妹分にと迎えた「ひめ」(♀)は推定2歳半で天国へ旅立ってしまったが、その後迎えた「ねね」(♀・現在3歳)が、今のわかの相棒である。ねねはわかのように社交家ではないが、その愛くるしい姿でファンも着実に増えてきている。

「わあ、猫! 可愛い!」。事務所はちょうどバス停の真ん前だということもあり、今日もたくさんの人たちが行き交ってわか&ねねに挨拶してゆく。近くの幼稚園や保育園の子どもたちとお母さん、通勤通学の人たち、お散歩途中のお年寄りなどなど、この町でわか&ねねを知らない人はいないくらいだ。

町の人気猫、わか&ねねは、今日も人と地域の「わっか」を広げている。

亡きひめの似顔絵や骨壷が事務所の真ん中に置かれ、今もみんなを見守る

 

 

ケアコミュニティ 座間のわっか
神奈川県座間市相武台3-37-11
TEL 046-283-6525
営業時間:9:00~18:00
事務所の定休日:土・日曜、祝日
https://www.c-grow.co.jp

文・写真/鈴木美紀

-猫びより