婚活女子のリアルな気持ちを描いて共感を呼んだ漫画『ピーナッツバターサンドウィッチ』などの作者ミツコさん。1匹の子猫を迎えてSNSにアップするとあまりの可愛さでまたたく間に人気者に。その溺愛ぶりが今度は多くの猫好きの共感を集めました。
「うずめがいなかった頃の人生を思い出せなくなる」ほどの沼にハマったミツコさんのうずめ中心の生活とは?
文・吉澤由美子/写真・ミツコ
待望の猫との暮らし
全員が犬派という家に育ちながら、大人になったら猫と暮らそうと夢見ていたミツコさん。猫と暮らすと決めてから準備に約5年をかけ、とうとうペット可のマンションに引っ越した。満を持して始めたのが「運命の猫探し」。リュックにバスタオルとちゅ〜るを詰め、困っている猫との出会いを求めて近所をパトロールしたが空振り続きだった。
そんなある日、インスタライブで猫と出会えないとぼやくと、あるフォロワーが猫の保護活動をしている人を紹介してくれ、そこから怒涛の急展開で3日後にミツコさんのもとへ猫がやってきた。
神社に捨てられていた6匹の子猫を保護して、5匹はすぐに家族が決まったものの、1匹だけトライアル先の先住猫と合わず戻ってきたというのだ。それがうずめ(1歳♀)だった。
うずめという名前は、神社に捨てられていたから神様にちなもうと古事記などに登場する女神「アマノウズメ」からいただいた。うずめを待つ3日間に大量の爪研ぎやグッズを買ってしまうなど、迎える前からすでに猫に尽くす気満々のミツコさんは、それから一直線に献身的な愛情を捧げる生活に突入する。
全力で甘え甘やかす幸せ
「うずめは生後1~2週間くらいで段ボール箱に入れて捨てられていたそうで、母猫から引き離されるのが早かったからか自分の肉球を母猫のおっぱいに見立ててよく吸っています。うちに来て3日目の夜、はじめて私の膝の上に乗ってきてくれて、私の目を見て肉球を吸い始めました。その時、せつなくて可愛くてうれしくて、いろんな想いが混じった感情でいっぱいになって涙が出ました」
こうしてミツコさんを虜にしたうずめはスクスク成長し、今では、膝の上でノビノビくつろぐと頭や足がはみ出しそうになる。そんな時は、ミツコさんがそっと手を添えて支え、その甘いシチュエーションにトイレへ行きたくても、ついつい我慢してしまうそう。
何をされてもうれしくて可愛い
基本的にいつもデレデレの赤ちゃん言葉で褒めまくっていて、うずめが何をしても可愛い。
「ソファーで爪研ぎしたり、ティッシュを箱からちぎり出されたり、木でできたカゴをボロボロにされた時は『あら! 素敵な作品ね?』とか『うずめ先生の最新作ですか!』と言ったりしちゃいます。いたずらのはずなのに、うずめが生み出したものだと愛しい〝作品〞に思えてくるから親バカですよね」
やんちゃな芸術家とパトロンのように幸せな関係。お世話係ミツコさんと国王の一人娘のお姫様うずめという設定で話しかけてしまうこともあるらしい。
猫と暮らすようになって驚いたのは、喜怒哀楽がわかりやすいこと。ミツコさんが出かける準備をすると不機嫌になり、帰ってくると怒りと喜びが混じった感じでずっと無言でべったりくっつき虫になるうずめ。家にお客様が来ると警戒して隠れるのに、お客様が帰るとべったり甘えモードになる姿に、自分がうずめにとって唯一の心を開ける家族なのだと実感した。
この子がいるから頑張れる
とはいえ、うずめを叱ってしまったこともある。甘噛みがエスカレートして本気噛みをされ、「ダメだと言っているのにわからないの?」と強い言葉をかけてしまった時は、遊び疲れて眠るうずめに、生まれたばかりのこんな小さな子にわかるわけないのに、こんなに可愛い子を怒りたくないのにと自己嫌悪と罪悪感で反省したそう。
猫はきれいさっぱり水に流してくれても、つい自分を責めてしまう気持ち、わかりすぎる!
「この子がいるから仕事を頑張らなきゃと思うし、この子と一緒にいたいから自分も健康でいなくてはと思うようになりました。私に全幅の信頼をよせてくれるうずめにとって、一生その信頼に値する存在でいたいなと思います」
ミツコさんの尻に敷かれっぷりにも共感が溢れるが、うずめの愛情と信頼もまたいじらしくてたまらなく可愛い。そんな相思相愛の名コンビがどんなチャーミングなエピソードを届けてくれるのか、これからも目が離せない。
漫画家、イラストレーター。静岡県出身。女性ファッション誌『with』(講談社)公式サイト「with online」で婚活に奮闘する20代の4人の女性を描いた『ピーナッツバターサンドウィッチ』が人気を呼びテレビドラマ化。Instagramでは猫から料理、旅行まで幅広いテーマで作品を発表している。
X(Twitter):@sheepmandonuts
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