下町の古い長屋の愉快な仲間たち。主に黄色系の猫が幅を利かせている。
長屋と家屋の間に小さな通路があるのだが、そこで日がな一日遊んでいる。
皆、仲が良いので冬はくっつきおしくら饅頭、夏は通路のコンクリートにべったり寝そべる。
ヤモリを採ってきては集まって遊び、鳩がいれば全員で「カッカッカッ」と鳴く。ほんとうに仲が良くて見ていて飽きない。
だけど仲間割れとかしないのか、とも思う。たまに喧嘩はあるが決定的な破局は訪れない。なぜだろう?
想像に過ぎないのだが…"多数決"だと思う。
ここの猫たちは皆、似た境遇で育ち似た餌を食べ似た性格になる。そして腕っぷしも大差がない。つまり決定的な力を持つボスがいないのだ。
だから猫では珍しく"群れ"ている。群れて外敵から身を守っているのだ。通路の猫たちは"みんな"が楽しいことしかしないし"みんな"が嫌がることはしない。"みんな"の総意で決める。
もしかすると"猫に小判"かもしれないが、つまりは「民主主義」なのだ。
そんな事を考えながら眺めていると人間も猫もあまり違いがないなぁ、と苦笑してしまった。
TEXT&PHOTO/KENTA YOKOOO