あるお寺にとてもハンサムな猫が捨てられた。
なぜこんなに素敵な猫が捨てられたのか分からない程だ。それぞれの家庭には事情があるのは承知しているが…。
通る人通る人に何かを訴えかける。
「おなかがすいたよう」
「誰か拾ってくれよう」
と言っているようだった。とにかく捨て猫は許されない。しかし僕だって同罪、傍観者だった。その事についてはとても今でも心苦しい。
だけどハンサムな猫。何日かして飼ってもいいという里親さんが現れた。関係者全員で喜んだ。キャリーケースにもすんなり入り、彼は新天地へ出発。
しかし。
程なくして関係者に連絡が入った。彼を手放したいという。理由は。
「この子、高級キャットフードしか食べないのよ!他にも我儘だらけで…」
そんなに余裕のあるお宅ではなかったのか、家計を圧迫したらしい。きっと捨て猫はお金持ちのお宅の子だったのかもしれない。ああ…。
結局、比較的お金に余裕のあるお宅に再度、貰われていった。その後、悠々自適で暮らしているという。
猫の幸せって何だろう、考えてしまった。
TEXT&PHOTO/KENTA YOKOO