川沿いのすみっこで暮らしている猫たち。
皆どこか自信なさげな面構えだが、そのぶん気持ちが優しい猫たち。たぶん餌が豊富な中心地ではやっていけない猫たちが自然に集まってきたのだろう。
みな肩を寄せ合って生きてる感じがする。その中心にいるのが、クロオ。賢くて頼れるリーダーだ。
しかしだんだんと集団から離れる猫を見かけるようになった。チャロというオス。
いつのまにかポツンとひとりでいて輪の中心を見ている。自分から孤独を選んだのか追いやられたのか…。
リーダーがそれを放置することはなかった。とにかくチャロに付きまとった、人間ならストーカー!と言われるぐらいに。
露骨なまでの"つきまとい作戦"はしかし失敗した。やはりチャロは孤立を選んだのか…。
とうとうクロオは堪忍袋の緒が切れたのか、チャロとタイマン喧嘩で勝負!結果…。
あっさりとクロオは負けた、本当にあっけなく。
リーダーが負けると政権が交代する。チャロ、新しいリーダーの誕生だ。
自然とリーダーのもとに輪ができる。そして敗北したクロオはかつてのチャロのように、集団から離れると思われたが…。
彼はチャロのカバン持ちのような存在となっていた。もともとの性格なのか、どこか楽しげ。ヘラヘラしてる。
あの賢いクロオだ、もしかすると…。ああ、悪い癖だ、深読みしてしまう。
クロオもチャロも仲間たちも懸命に生きている。それだけだ。
TEXT&PHOTO/KENTA YOKOO