「猫の恋」
ボス猫が必死にアプローチしている三毛猫がいた。
しかし彼女は一向に介せず無視を決め込む。ボスはストーカーの様に彼女につきまとう。しかし彼女は同じ場所にさえ居たくないのか逃げまわる。
けれどある日を境にボスは何かを悟った様に彼女から手をひいた。そして突如、自然を愛す猫になり季節の花々や草木を愛で癒されていた。
たぶんフラれたんだろうな…。そのまま燃え尽きたのかボスの座からも自発的に降り引退した。
やがて月日は経ち三毛猫が3匹の子猫を産んだ。その中に…ボス猫そっくりの子猫がいた!恋は成就していたのだ。
もしかすると任侠映画によくある「俺、堅気になるよ、そしたら一緒になってくれるか」だったのか。
三毛猫は彼がボスの座から降りる事を条件に猫の契を結んだのか。
それとも三毛猫側から「私をとるか仕事をとるか」とでも詰問されたのか。そういえばボス猫、抗争の真っ最中だったな、三毛猫はそれが心配だったのか。
もちろんこれは人間の勝手な想像。けれど俳句には「猫の恋」という春の季語がある。400年前から使われているそうだ。
400年前から猫の恋は人々の想像を掻き立てていたのだ。
首領(ドン)の座と 天秤かけて 猫の恋
…お粗末さまでした。
text&photo/Kenta Yokoo