「御縁」
ある稲荷神社の前を通った時に、狐を見かけた。狐はお稲荷様の使い、もしかして…。
境内に入ってみると、それは狐ではなく猫だった。
それも3匹。
ついでながら本殿を参拝していると3匹の中の三毛がやたらついてまわる。
なにか欲しいのか、それとも撫でてほしいのか。とりあえず手を差し出そうと近付くと逃げる。
手を収めて離れると、またついてくる。
ヒョイッ、ヒョイッ。
それの繰り返し。遊んでいるような遊ばれているような感覚。
まあ弄ばれているんだけど。
三毛はだんだん本殿から離れて境内社のほうへ誘う。神を微塵も信じてない僕。
偶然だ。
小さなお狐様に三毛がスリスリ体をこすりつけている。まるで仲の良い友達に挨拶するみたいに。
なになに~本当は猫に化けた狐なんじゃないの~
とか冗談を言ってみる。
すると告げ口するかの如くに小さなお狐様に何かニャーニャー言って、それから耳と耳を合わせる。
ちょっとギクッとしたがお賽銭を入れて拍手すると三毛はビックリしてどこかへ行ってしまった。
まあ、お稲荷様の使いが拍手で逃げてたら仕事にならないよね。
さあ、帰ろうと脇の鳥居から出ようとすると右手奥に小さな社が。
そこに三毛も含めてさっきの3匹が気怠そうに座っていた。こちらにもお狐様が鎮座している。
繰り返しますが神の類を微塵も信じておりません。
偶然偶然。
だけど何か仕組まれてる気がしないでもないな~、とか思いながら結局参拝する。
拍手。
猫様はただただ気だるげに鎮座されたままだ。さっきは何故逃げたのだろうか。
これからも猫達とこんな楽しいご縁がありますように、と願い五円(御縁)を入れしばし佇む。
そして帰路、神社近くの古いビルから4(正確には5)匹の猫が顔を出していたのを発見。
御縁、あった。
でも偶然偶然。
偶然ですよね?