「あくびちゃん」
猫はあくびをする。
名付けるなら"アクビスト"だ。
子供の頃、あくびばっかりしている雌猫がいた。某アニメから名を拝借して"あくびちゃん"と名付けられた。
あくびをしては寝て、あくびをしては寝ての繰り返し。まさに"寝子"、よく寝る子だった。(猫のあくびには様々な意味があるらしいが、今回は触れないでおこう)
あくびちゃんが人間だったら社会では疎んじられるだろう。そんなに眠たいのか、寝不足か、と言われてしまう。
学校だったら教師に怒られてばっかりだし、会社だったらクビになるかもしれない。
でも寝る子は育つ。
あくびちゃんは大きく育ち、沢山の子を産んだ。その子供たちもよく寝て、よく育った。ついでにあくびちゃんも一緒に寝てた。
人間なら失格の烙印を押されたかもしれないが、猫なら表彰ものの立派な猫だ。
猫は14時間くらい眠るという。寝ている時間が長いという事になる。
江戸川乱歩が言ったという。
『うつし世はゆめ 夜の夢こそまこと』
あくびちゃん。
うつつで子育てをし、まことの世界では何をしていたの?
想像はつきないが、眠たくなってきました。
Kenta Yokoo
ではおやすみなさい、よい夢を。
text&photo/Kenta Yokoo