香川のドルフィンセンターで人とイルカをつなぐ看板猫 しろみ&オセロ

イルカのプールにつづくフロートをしっぽを立てて歩いてきたしろみ(8歳♀)

香川県さぬき市にあるイルカと触れ合える施設、日本ドルフィンセンター。海と山に囲まれた自然豊かなこの施設で、イルカたちと共に人気となっているのが、看板猫のしろみとオセロだ。人懐っこい2匹の猫たちの活躍ぶりを見に行ってきた。

文・写真 八二一

人、猫、イルカがお出迎え

瀬戸内海の美しい島々が点在するさぬき市の北東、周囲の山を見渡せる穏やかな湾の中にある日本ドルフィンセンターは、イルカと触れ合えるイベントが大人気の施設だ。今年で20周年を迎えるセンターでは、6頭のイルカと7名のトレーナー(ドルフィンキーパー)がお客さんを出迎える。

フロートという浮きで囲った巨大なプールでは、イルカの餌やり体験や、トレーナー体験ができる。浅瀬でイルカと一緒に遊ぶ、ふれあいビーチ体験や、ウェットスーツを着てイルカと泳ぐことができるドルフィンスイムも人気のプログラムだ。

センターでは、なんといってもイルカとの距離が近く、たくさん触れ合えることが自慢のひとつ。すぐ目の前で見られるイルカたちのジャンプは圧巻だ。

フロートを歩いてイルカの泳ぐプールまで行くと、フレンドリーなイルカたちが顔を出してくれる。そのプールの脇でイルカとお客さんを見守っているのが、2匹の看板猫、しろみとオセロだ。

間近で見られる大迫力のイルカのジャンプ

 

自由に育った看板猫たち

三毛猫のしろみは、生後1ヶ月ほどの子猫の時に、センターの近くで保護された。お話を伺ったのは、トレーナーの鈴木沙都美さん。

「センターにいる時に、どこからか子猫の声が聞こえるなと思って近くの山に探しに行ったら、2匹の子猫が捨てられていたんです」

1匹は、もらい手が見つかり、残ったしろみを引き取った。

その2年後にやってきた白黒のオセロは、同じ四国にある室戸ドルフィンセンターのスタッフが拾ってきた子猫だった。日本ドルフィンセンターでは、以前にも3匹の猫を飼っていたのだが、ちょうどその頃は、しろみ1匹だけとなってしまって寂しく思っていたこともあり、オセロを引き取ることにした。

イルカも猫も大好きな7名のドルフィンキーパー

 

2匹は、子猫の頃からイルカやお客さんがいるのがあたり前の生活。誰に教えられた訳でもないが、人懐っこくて、お客さんが大好きな看板猫となった。プールにつながるフロートを、しっぽを立てながらてくてく歩いて行く姿は見慣れた光景だ。

「小さい頃に、イルカの餌の魚をちぎって食べさせたことがあったんです。それを覚えていて、スタッフがプールに行くとついて来るんです」

揺れるフロートもなんのその。ご機嫌がよければ、お客さんの先導もしてくれる。ただ、おこぼれが目当てなので、スタッフがいない時にプールに行くことはないそうだ。

「しろみは、何度か海に落ちたことがあるんですよ」と話してくれた鈴木さん。

どうやって助けたのかと聞くと、「猫かきしているところを抱き上げました」とのこと。なるほど、フロートから水面は手が届くほどの距離。すぐに助けてもらえてよかったねと言いながらも、慌てて猫かきしている姿を想像して笑ってしまって、ごめんね、しろみ。

海に落ちたけれども、海を怖がることはなく、フロートでまったりイルカを眺めるのが、お気に入りのしろみだ。

イルカのトレーニングは、1日に4回。猫たちは、気が向いたらプールに出てくるし、それ以外の時間は自由に過ごしている。

イルカの餌の魚がほしいな〜と見つめるしろみ

 

お得意のお手を披露するオセロ(6歳♂)

 

海から体を乗り出してトレーナーと握手

 

お客さんが大好きなしろみは、受付でお出迎え

 

広がる癒やしの輪

もっぱら展望レストランでお昼寝しているのは、しろみ。お客さんのひざで寝ていることもあるそうだ。

一方、オセロは、テリトリーを見回りに行くことが多い。「近くの山に遊びに行ったり、他の猫とケンカして帰ってくることもあります。オセロは強いみたいですよ」

最近は、猫たちに会うためにやってくるお客さんも増えてきたのだそう。

「ちゅ〜るの差し入れをいただいたり、遠方から会いに来てくださる常連さんもいらっしゃいます」

猫がきっかけで、イルカに会いに来てくれることが嬉しいという鈴木さん。

イルカに魅了されてトレーナーになった鈴木さんには、イルカの魅力をもっと知ってもらいたいという思いがある。地元の子どたちの環境教育にも力を入れており、イルカの棲む海のことにも興味を持ってもらえたらと話す。

センターのSNSでは、イルカたちが、海中のヒトデやナマコを口にくわえてきては、トレーナーに渡してくれるかわいい動画が300万回再生するほど話題となっている。海中のゴミを誤って食べてしまわないように、拾ったものは持ち帰ってくることを教えたのだという。

「イルカは、賢いですよ。ジャンプを少し低く飛んだりと、上手にさぼって新人トレーナーを悩ませたりもします。トレーナーもイルカに教えてもらいながら、成長していきます」

のんびりとした瀬戸内の入江で、陽気なイルカたちと、甘えん坊な猫たちに会えるダブルの癒やしの体験。日本ドルフィンセンターを訪れて、ぜひ味わってみてほしい。

まったりじゃれて遊ぶ、なかよしのしろみとオセロ

 

日本ドルフィンセンター
香川県さぬき市津田町鶴羽1520-130
TEL 0879-23-7623
営業時間:GW~10月/10:00〜17:00、11月~GW前/10:00〜16:30
定休日:無休、10月~3月のみ水曜
https://www.j-dc2.net
X(Twitter):@dolphincenter
Instagram:dolphincenter
Facebook:日本ドルフィンセンター

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