屋の屋根から屋根へジャンプし移動する猫たち。彼らは夏以外は地上に降りる事が少ない。日がな屋根上で日向ぼっこをして、陽が移動すれば屋根を伝って日向を追いかける。
猫たちの身長からして落ちたら怪我では済まないような高さをジャンプする。彼らの身体能力に驚きを隠せない、ちょっと人間では考えられない。
だけどごく稀に際どいジャンプをする猫がいて…チャコ(雌)と呼んでいた子だ。
チャコはおとなしめの性格で体格も普通。標準的な猫だ。しかし、あまりジャンプが得意ではない。
いつだったか、ギリギリの距離を飛ぼうとした。このへんの勇気は称賛に値する。
いざジャンプ!しかし着地点に前足がついたのは良いが…後ろ足がつかず。前足の力でなんとかぶら下がって難を逃れたが…あぶないあぶない。
ある時はやはりギリギリの距離を飛ぼうとして、また後ろ足分、距離が足らない。ちょうど着地点の真下にいた僕の頭に後ろ足をゴツン!とぶつけて難をのがれた。痛かった…。
そんなチャコがジャンプの上手いリーダーに恋をした。いつもそばにいたいのか、付いてまわる。リーダーだから忙しく頻繁にあちこちを飛びまくっている。それに果敢にも付いていくチャコ。
待ってよう、と言わんばかりに先を行くリーダーに追いつく為にジャンプジャンプ。その繰り返し。
そうやっているうちにチャコはジャンプが上手くなってしまった!
馬の鼻っ面にニンジンをぶらさげて走らせるアレではないか。ならば…。
猫の鼻っ面にカツオ節をぶらさげてみたらやはり走りだすだろうか。まず間違いなくすぐに食べちゃうだろうな、前足でパパッと。
やれやれ。
TEXT&PHOTO/KENTA YOKOO