ここは古い長屋、昭和の面影が色濃く残っている。飼われている猫たちもどこか昔ながらの雰囲気がある。
その中に茶猫が4匹いた。血縁なのだろう、皆いつも一緒、仲も良い。性格まで似ている。
虫を採ってきては皆で遊び、ごはんも皆で食べ、そして皆で一緒に眠る。まるで「おそ松くん」みたいな彼ら。
名前もそれにちなんで「一松」「二松」「三松」「四松」と呼んでいた(ちょっと適当だね、いやかなりか)。
そんな彼らの長屋に美しい三毛猫がやってきた。おそ松くん達は皆、色めき立った。好みのタイプまで一緒…可笑しい。
当然、お付き合いしたくなる。果敢にアタックする彼ら。一松、二松、三松と(順番はわかりませんが)
「つきあってください!」
と告白するが三毛猫の猫パンチで答えられる。最後の四松もどうせ…ところが、四松は受け入れられた。
え!?
四松の一体何がその他多数(つまり一松・二松・三松)と違ったのだろうか。ひとつだけ思い当たる事、それは…。
四松は長毛、三毛猫も長毛なのだ。長毛同士、気が合ったのだろうか(全くの想像でしかないが)。
恨みがましい視線を送るその他多数たちを尻目に仲良く歩く長毛カップル。
四松が人間だったらきっと彼女をスマホの待ち受け画面にして見せびらかした事だろう。そして歯噛みするその他多数。
しかし猫は気まぐれ、恋も移ろいやすいもので三毛猫は長屋一番のイケメンにあっさり乗り換えてしまった。四松が三毛猫によりを戻そうと近付くが
「ウザッ」
と言わんばかりに無視する。諦めずしつこく付きまとうが過去の一松・二松・三松と同じく猫パンチをくらいジ・エンド。
しばらくして、また虫を採っては遊ぶ4匹の茶猫。失意の四松、顔色は暗い…事はなく楽しそうにはしゃいでる。
これでいつもどおりのおそ松くんたち。そうそう、男は諦めが肝心だね!
TEXT&PHOTO/KENTA YOKOO