この世界の片隅で、ネコ。EP:41「猫馬鹿の遠吠え」

「猫馬鹿の遠吠え」

猫は頭の模様で印象が大きく変わる。例えばハチワレ。前髪パッツン、七三分け。人間の髪型みたいで笑ってしまう。

禿散らかした頭をした猫がいる…それも茶髪!最初の出会いから笑った(ゴメンね)。

その先入観を持って見れば、彼の一挙手一投足がすべて可笑しく見える。

物陰から何かを見つめる彼…。

道端に寝転がる彼…。

屋根上から人間を観察する彼…。

全てが可笑しいし愛おしい。すっかり彼のファンになってしまった。

そんな彼、運動神経バツグンで木登りなんか朝飯前だ。すぐに屋根上や路地奥にドロンと消えてしまう。相当、ツキがないと会えないレアキャラ。ファンとしてはヤキモキする日々だ…。

彼には相棒がいる、こちらは正統派のハチワレだ。よく一緒に日向ぼっこしたりじゃれ合ったりしている。

一度ハチワレとじゃれ合いが発展して喧嘩になった時、結果としてハチワレが勝ったのだが…。

敗者となりうなだれる彼…。最後にニャー…と鳴きどこかへ消えて行った。翻訳すると…ハチワレにこう言ったはずだ。

「髪があるからって威張るなよ!」

負け犬の遠吠えならぬ負け猫の遠吠え…。そんなところまで可笑しく愛おしい。

全ては僕の想像に過ぎない。確かな事実といえば猫が2匹いた、それだけだ。ああ、それともうひとつ。勝手にファンになり彼に会いに足繁く通うヘンな人間もいる、そういう事実だ。

猫馬鹿の戯言に付き合わせてごめんなさい。もうしません。

text&photo/Kenta Yokoo

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