「猫パンチ」
青い瞳をした猫と、そのボディーガード役の猫。高貴なふたり。
とある事をきっかけに庶民になったのだが…。
庶民にボディーガードは必要ないのか、それぞれ単独行動が多くなった。青い瞳の猫は、だいたいお寺の境内でだらしなく眠っている。
ボディーガード猫は…日がな女の子を追っかけている。だがまったくモテない。
「うまくいかないな」
と言いながらカメラを向けると猫パンチをくらう。さすがボディガードだ。
「仕事しろよ」
そう言うとまた猫パンチ。
「暴力反対」
またまた猫パンチ。ただの乱暴者じゃないか…。
ある日、ボディガードは三毛猫を追っかけていた。だがやはり嫌がられている。もうついてこないで!と言わんばかりの強烈な猫パンチをくらう。あーあ。
少しかわいそうになったので優しいトーンの声で「まあまあ落ち込まないで」と言うとパフッと猫パンチ。あれ、パフッ?少し手加減されてる。
単に顔を憶えてくれて手加減したのか、三毛猫にくらった猫パンチで痛みがわかったのか。
今度はハッハッハッと笑いながら
「おまえモテないなぁ」
と言うとバシッ!いつもより強い猫パンチをくらった気がした…。
あくる日。違う女の子を追いかけ、また猫パンチをくらっていた。やれやれ。
text&photo/kenta Yokoo