美術のなかの猫たち 猫尽くし12ヶ月 伊藤清子2025カレンダー原画展

伊藤清子さんは鮮やかな色彩を使った猫の絵で知られる日本画家。昨年12月、新橋のいつき画廊でその伊藤さんの2025年のカレンダー原画展が開催されました。

1月はまばゆいばかりにおめでたい絵柄(写真提供・伊藤清子)

絵の世界では画廊などの企画で、人気画家の絵でカレンダーが制作されます。特に伝統的な美意識と花鳥風月の写生を重んじる日本画は、12ヶ月それぞれ季節感のある絵柄で楽しませてくれることが多いのです。

伊藤さんには12ヶ月全て猫の絵を期待するけど、猫だけではカレンダーに相応しい季節感が表現できないはず……。そこをコスプレと背景を駆使して、見事に描き分けていました。

イチゴの彩度を落とすことで猫もチョコも引き立つ2月

1月は鯛のかぶり物に富士と駒。新年らしくおめでたい絵柄で始めます。2月はイチゴのかぶり物にチョコレートをトッピング。そう、バレンタインを意識した絵です。

5月。猫が日常的に見せる表情が本当にピッタリ絵にハマります

 

9月はストレートに月と猫の組み合わせ

5月は鯉のぼりと折り紙の兜、7月はミニトマト、9月は後ろに猫の後ろに満月を描き、10月はハロウィンにちなんでカボチャのかぶり物と背景に星とコウモリ。季節の行事や旬の食べ物を描きながら、毎月楽しい絵が続きます。

秋深い11月はモンブランでクリづくし

個人的に一番印象に残ったのは6月の絵。植物が一番元気になる季節に、緑を背景にして若々しい生命力がみなぎる子猫を描く感覚がいかにも日本画家らしいと思いました。

眠っているからこそ若々しいエネルギーが垣間見える6月の絵(写真提供・伊藤清子)

伊藤さんが描く猫は、可愛らしくデフォルメしつつも、リアルな表情をしっかりとらえていて、野性味を残しているのが魅力。単に可愛い動物が好きという人から、「こんな顔するよね!」という「らしさ」がたまらないという猫好きまで、幅広い層に親しまれる作風です。そこに日本画の魅力である上品な絵具の美しさと季節感が加わったとても素晴らしいカレンダーでした。

伊藤清子2025年カレンダー原画展
いつき画廊(東京・新橋)2024年12月5日~14日
https://itsukiart.com/

※カレンダー詳細・購入は下記より
https://itsukiart.com/shop/d1539/

-猫びより