ネコリンピック開催!ナナちゃん&ポンちゃん

長い手足でナナちゃん(右)の動きを封じるのがポンちゃんの得意技

ポンちゃんの勝ちと思いきや、ナナちゃんの顔面キックが炸裂!

茶白のナナちゃん(10歳♀)と斜め前髪のポンちゃん(7歳♀)は、相思相愛の仲良しコンビ。だけど、ひとたびスイッチが入ると本気のバトルが勃発! 柔道、レスリング、ブレイキン……オリンピックさながらの白熱した戦いを繰り広げています。躍動感あふれる日常の決定的瞬間を撮りつづけている兵庫県在住のhabaoneko さんに、ふたりとの出会いからこれまでを綴ってもらいました。

文・写真 habaoneko
Instagram:habaoneko
X(Twitter):@habaoneko

保護猫施設にいた頃の仮名は「ポロンちゃん」。ナナちゃんと漫才コンビみたいにしたくて「ポンちゃん」と名づけました。気高いツンデレさんで、好奇心旺盛ないたずらっ子

もう、うちでぬくぬくし!

ミラーレスカメラを買ったのは、ふたりのケンカシーンをかっこ良く撮りたくなったから。大抵の場合、ナナちゃんがリラックスしているとポンちゃんが近づいてきて、馬乗りになろうとするとケンカがスタート。ただ、馬乗りになる最中にナナちゃんに蹴り飛ばされ即KOということが多いです(笑)。私は基本的に微笑ましく見ているか写真を撮っているかなのですが、たまに白熱しすぎて「これはいかん」という時は、間に入ってレフェリーストップとなります。

ナナちゃんがポンちゃんの毛づくろいをしてあげている時に、ポンちゃんもお返しをしようとするのですが、2〜3ペロしたところでなぜかナナちゃんが怒ってケンカになります

ケンカの時以外は仲が良く、ほど良い距離感のある親子のような関係。一緒に外を眺めたり、近くに転がって寝ていたりします。

ナナちゃんとポンちゃんはどちらも元保護猫で、保護猫と暮らそうと思うきっかけになった忘れられない出来事があります。ある冬の夜、私の住むマンションの近くに子猫が現れ、夜な夜な鳴き声が聞こえてきました。夜なので顔立ちも柄も分からないまま何度かごはんをあげ、きちんと家にお迎えしようと猫用のトイレやベッド、フードを準備したのですが、保護する前に姿を見せなくなってしまいました。

抱っこは苦手なので、優しく撫でてあげたり、
ふたりが大好きな猫草を手からあげたりしてスキンシップを取っています

その猫のことが心残りで「たとえ1匹でも、救える命があるのなら救いたい」と思い、里親募集サイトで見つけたのが当時推定1歳のナナちゃんです。保護主さんがブログでナナちゃんの情報を日々発信していたので、私は毎日それを見ながら「猫の平均寿命は15年、ずっとナナちゃんを愛しつづけられるか」と思案していました。

そんな時、保護主さん宅の飼い猫ちゃんが、ナナちゃんのために用意された「猫用コタツ」を横取りするシーンがブログに上がりました。すごく悔しそうにしているナナちゃんの後ろ姿の写真を観た瞬間、「もう……うちでぬくぬくし!」と思い切って里親に名乗り出ました。

「ナナちゃん」は、外猫時代にお世話をしてくれていた方が付けた名前。とにかく食い意地が張っていて、食べたらすぐ寝ます。癒やししかないぽっちゃりボディ

ナナちゃんにお友だちを

2匹目を迎えようと思ったのは、ナナちゃんが膀胱炎になった時でした。動物病院の先生によると「猫の特発性膀胱炎の原因ははっきりしていないが、多くの場合はストレスだと言われている」とのこと。当時のナナちゃんは1匹で留守番をする日も多く、ストレスになっているのでは? と考えたのです。

お友だちの猫がいた方が良いのかもしれない。でもナナちゃんはテリトリー意識の強い猫で、外猫が家の近くに来ると、それはそれは恐ろしい声を出して撃退していました。「果たして他の猫を受け入れてくれるのだろうか…… 」となかなか決心がつきませんでした。

しかし、ナナちゃんは外猫時代に出産・子育てを経験しており、子猫であれば受け入れてくれるだろうと信じて、子猫の里親募集情報を探しました。その中で、直感で「ピン!」と来たのが生後約3ヶ月のポンちゃんでした。


レスリング
ナナちゃん優勢!? ナナちゃんはポンちゃんが吹っ飛ぶほどのタックルを繰り出します。


ブレイキン
ポンちゃんは低い姿勢からのローリングアタックが得意。ダンスバトルのふりしてタイミングを見計らってる!?


バスケットボール
ナナちゃん&ポンちゃん「ジャンプ力だって負けないんだから!」


柔道
一本! いつもお互い上のポジションを取ろうとして取っ組み合いになります。

親子のような関係

ポンちゃんを迎えたばかりの頃、ナナちゃんはポンちゃんを見るたびに唸り声を上げていました。ただ、ポンちゃんは一向にめげず小さな体で何度もナナちゃんに挨拶をしに行きました。すると1週間経った頃、ふたりの距離が徐々に縮まりはじめたのです。ナナちゃんが母性を思い出したようで、一度仲良くなると、その後は本当の親子のようにぴったりくっつくように。

ナナちゃんがポンちゃんのことを毛づくろいするたびに「愛しくてたまらない」というムードが漂っていて、「ふたりを出会わせることができて良かった」と目を潤ませたものです。

大人になった今ではイチャイチャする時間は短くなりましたが、ケンカはしてもお互いのことが大好きで信頼し合っている良いコンビであることに変わりはありません。

大人になってひとりで過ごす時間が多くなりましたが、
時には仲睦まじく寄り添っています

「好き」の伝え方

ふたりとも抱っこが苦手でべったりと甘えるタイプではないのですが、それぞれのスタイルで私に「好き!」を伝えてくれる時、幸せを感じます。

ナナちゃんは眠りから目覚めた瞬間に私を見つけると、慌てたように鳴きながら駆け寄ってきてくれます。そんなナナちゃんを両手で受け止めて撫でてあげると、大音量の「グルグル」を聞かせてくれます。

ポンちゃんは普段は飄々としているのですが、一日の中で数回「甘えんぼタイム」があって、私を鳴いて呼びつけます。そして私の前を先導して歩き、寝室まで連れていって、おしりをクイと上げます。そこからおしりポンポン、あごクイクイ、頭ナデナデとさまざまな手法で甘やかしてあげるのですが、ポンちゃんの気持ちがMAXに達した時、私に「鼻チュー」をしてくれます。その時は昇天しそうになります(アブナイアブナイ)。

ナナちゃん、ポンちゃん、私と一緒にいてくれてありがとう。ふたりからたくさん愛情をもらっているおかげで、私はいつも笑顔でいることができます。

-猫びより