【香港】再見!クリームあねさん

ベストショットは、あにきよりもあねさん次第!?

2013年5月号の猫びよりではじめて香港からご紹介した新聞スタンドの店長猫、クリームあにき【忌廉哥(ゲイリムゴウ)】。

その後の大人気ぶりは、本誌の記事やフォトブック『香港の大スター☆クリームあにき』等でご存じの方も多いはず。2020年5月に虹の橋を渡ってからも、今なお多くのファンに支持されています。

そして、そんなあにきの傍らになくてはならない存在だったのが、クリームあねさんこと妹妹(ムイムイ)です。

実は、香港ではあにきよりもコアで熱狂的なファンを持っていたと言っても過言ではありません。表舞台でちやほやされるあにきの後ろで、ラスボスともいえる輝きを放っていたあねさんは、2023年10月に18歳であにきのもとへ旅立ちました。

新聞スタンドの店主である高(ゴウ)さん夫妻に引き取られる前のあにきの生い立ちは悲しいものでしたが(詳細は書籍で)、あねさんもまた、子猫を産んだ途端、飼い主が子猫に掛かりっきりになり引き取り手を探していたため、高さん夫妻が名乗りを上げたのでした。

もともと勝ち気で自我が強い性格な上に、慣れない環境や、なによりあにきとの相性を心配していたという高さん夫妻。

ところが、すでに店長として店舗生活を送っていたあにきは、ケージに入ってやってきたあねさんを優しく見守り、決して攻撃することなくケージのそばで寄り添うように過ごしていたそうです。その見守りは、あねさんがケージを出て副店長になってからも続き、好奇心旺盛で店舗の外を探検したがるあねさんに付き添い、時には遠くまで出掛けようとするあねさんを阻止するために身を挺して(?)連れ帰ってくることもあったといいます。

惜しまれつつ2016年5月に新聞スタンドが閉店した後も、あにきとともに高さんの自宅で暮らし、また2017年10月に新店舗「クリームふぁみり【忌廉家族(ゲイリンガージョッ)】」がオープンした後は副店長としてあにきとゴームイ【高妹(ゴームイ)】、ケーキ【蛋糕(ダンゴウ)】、ミルク【牛奶(アウナァイ)】のふぁみりぃとともに広くなった店舗で、ファンのみならず海外からの観光客ももてなしながら楽しく暮らしていました。

しかし、2019年9月にあにきの胃に腫瘍が見つかり、あにきの治療を第一に考えた時、スコティッシュフォールドによく見られる遺伝性疾患といわれる関節異常を発症していたあねさんの世話が疎かになることを心配した高さんは決断しました。

ファンとして知り合い、長きに渡りあねさんのお世話も支えてくれていた方にあねさんを託したのです。それからのあねさんは、腎不全や甲状腺機能低下症を抱えながらも、手厚い治療を受け温かい家庭の中で18 年余りの天寿を全うしました。

あにきとあねさん……これからもその仲睦まじい姿は、いつまでもファンの心に。

迫力ある座り姿はファン一番のお気に入りポーズ

 

だらっとしているようで、実はちゃんとお仕事中

 

イベントごとの記念写真でも、おしどりぶりを発揮

 

お食事タイムが待ちきれないあにき&あねさん

文・塚碕由香/写真提供・Wing Chan他

Tsukazaki Yuka
在香港歴26年のフリーライター。広東語で通訳、翻訳、日本語教師などもこなす。著書に『香港の大スター☆クリームあにき』(辰巳出版)。

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