猫の健康を維持するのに、食生活と同じぐらい大切なのが排泄。猫の居心地いいトイレ空間を作りましょう。
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こんなトイレなら猫も嬉しい
猫が喜ぶトイレって一体どんなもの? トイレ環境には並々ならぬこだわりを持つ猫だからこそ、気を付けてあげたいポイントがある。
- 十分な数
- 十分なサイズ
- 落ち着ける場所
- 適度な深さ
- 清潔でたっぷりな砂
ふた付きの場合
高さも重要
ドームタイプのようにふたが付いたトイレの場合、猫が用を足す際、中腰になって頭が当たらないぐらいの十分な高さも必要。入口も猫が出入りしやすい大きさで、開閉タイプの場合は開閉のしやすさもポイントに。
場所
目につきやすい部屋の隅など
玄関や往来の激しい廊下、騒がしい場所は猫も落ち着かないので避ける。掃除しやすく排泄異常なども見つけやすくするため、飼い主の目が行き届く場所で、猫が安心できる部屋の隅などがよい。
個数
頭数+1個
理想は頭数にプラス1 個。数に余裕があれば、留守などですぐにトイレの掃除ができない場合も、予備として使える。トレイにも猫の好みがあるので、気に入らないと足が遠のいてしまう原因に。好みが
分かるまでは違うタイプも用意しておくとさらに安心。
掃除
最低朝・晩の2回
猫は自分の排泄物のニオイがいつまでも残るのを嫌うので、トイレはこまめにチェックして、できれば排泄後すぐに掃除するのがよい。最低でも朝晩に2 回は掃除し、常に清潔に保てるよう心がけること。
トイレ環境はしっかりと
キレイ好きでトイレへのこだわりも強い猫。気に入らなかったり落ち着いてできない場合には、我慢したり別の場所で粗相してしまうこともあるため、トイレ環境はしっかり整えてあげましょう。
猫はトイレ内で体勢を何度か変えることがあるので、体が収まり中で向きを変えても窮屈でないサイズのものを選ぶこと。またいで入れ、中で砂を掘り返しても溢れない適度な深さも重要です。中には縁に手をかけて用を足す猫もいるので、ある程度厚みと安定感もあった方がいいでしょう。往来の激しい場所ではなく、静かで落ち着ける場所に設置し、常にキレイに保つよう心がけましょう。
トレイの種類
トレイは、スタンダードな箱タイプ、カバーが付いたハーフカバーやドームタイプなど多種多様。猫の好みに応じて選べるように、いくつかのタイプを用意するとよい。いずれにせよ、洗いやすく常に清潔に保てるものを。
箱タイプ
もっともポピュラーな形。足を縁にかけて用を足す猫にはこのタイプが使いやすい。目隠しがないので排泄のチェックがしやすく掃除もしやすい反面、丸見えなので置く場所を選ぶことと、砂の飛び散りやニオイ対策が必要。
カバータイプ
屋根があるドームタイプやハーフカバータイプがあり、ドームタイプには、扉のないものと、猫が入ると完全個室になる扉付きの開閉タイプなどもある。砂が飛び散りにくくニオイが漏れにくい反面、排泄の確認がしにくい点も。
他にも…
場所を取らないおまる型や1週間に1度専用シートを交換するシステムタイプ、ウンチまで自動で処理してくれる全自動トイレなどもある。
月に1度は天日干ししよう
室内飼いで猫のトイレ臭は悩みの種。2週間に1度は砂を交換し、月に1度はトレイを天日干しするとよい。砂を取り除き、丸洗いしたトレイを天日干しすれば除菌できて、染みついたニオイを軽減させる効果も。
砂もいろいろ
種類によってニオイや感触、掃除のしやすさなど利便性も違うため、飼い主の間でも好みが分かれるが、「深く掘って自分のニオイを隠したい」という猫の本能を最も満たすのは、重量感があって自然の砂に近い感触が得られる鉱物系。
鉱物系
ベントナイトを主原料にし、脱臭力・吸収力に優れている。砂に近い感触で猫が好みやすい。即座に固まりやすく、猫砂の中で最も衛生的といえる。不燃ごみとして捨てるものが多い。難点は重量があるので持ち運びや廃棄の際に不便なこと。
紙系
固まりやすく、オシッコで色が変わるものもあるのでチェックしやすい。可燃ごみとして捨てられ、トイレに流せるものが多い。軽いので購入・廃棄の際に持ち運びやすい反面、飛び散りやすい。雑
菌の繁殖を防ぐためには頻繁に取り替えが必要。
木材系
ヒノキなど針葉樹が主原料でウッディな香りが特徴。脱臭性に優れ、固まるタイプと固まらないタイプがある。可燃ごみとして捨てられ、トイレに流せるものが多い。中には、有機物でありながら消臭性・抗菌性・固まりやすさに優れたものも市販されている。
おから系
おからを主原料にしたもの。可燃ごみとして捨てられ、トイレに流せるものが多い。おから独特の香りがある。天然素材で安心な反面、こちらも雑菌が繁殖しやすいので、使用後はすぐに捨てる。猫が口
にしてしまう場合は使用を控える。
なぜ砂をかけるの?
排泄後の砂かけ行動は、砂漠で暮らしていた祖先を持つ猫ならでは。敵や獲物に自分の存在を気づかれないようにするため、深く穴を掘って用を足し排泄物の上から砂をかけて「自分のニオイを消したい」という本能が備わっている。
排泄物を埋めない時は、マーキングが目的の場合も。砂もいろいろ種類によってニオイや感触、掃除のしやすさなど利便性も違うため、飼い主の間でも好みが分かれるが、「深く掘って自分のニオイを隠したい」という猫の本能を最も満たすのは、重量感があって自然の砂に近い感触が得られる鉱物系。
難点は重量があるので持ち運びや廃棄の際に不便なこと。
監修:南部美香
文:高橋美樹 イラスト:おかやまたかとし