
肩乗りモネちゃんと。オーナーの小川やすえさんは、滋賀県議会議員と して動物愛護問題にも取り組んでいる
幼いときから猫好きで、小学生の頃、何度も捨て猫を拾っては家に連れて帰り、親に叱られていたという小川やすえさん。そのとき小川さんは思った。「私は絶対に、猫を幸せにする大人になろう!」。
その気持ちはずっと続き、保護猫問題に取り組み動物愛護の活動を個人で行ってきた。そして2022年、近くで古民家が売り出されているのを知り、一念発起して購入し、つくったのが保護猫のいるカフェ「ニコノシッポ」である。
滋賀県野洲市、「近江富士」の名で親しまれる三上山をのぞむ緑豊かな地に、ニコノシッポはある。築約60年という古民家は歴史の風格をたたえるとともに、猫さま仕様にリノベーションされた室内が居心地のよい空間となっていて、猫も人も手足を伸ばしてくつろげる。
ここには里親募集をしている猫もいれば、猫スタッフとして人懐っこく迎えてくれる猫もいるが、猫カフェではないので猫の「接待」を求めてはいけない。「猫のいるおうちにお邪魔した」という気持ちで、愛らしい猫のしぐさを眺め、寄ってきてくれれば撫で、猫と一緒の空間を満喫しよう。

縁側で猫が鼻キス。安心できる場所に保護されてよかったね!
「縁側に三毛猫」という日本家屋に王道の光景も見られるし、猫同士のスキンシップの様子もたまらない。タイミングにもよるが子猫がいる時期もあり、遊びまわる子猫たちのやんちゃぶりを眺められるのも垂涎ものだ。
アクセスは決してよいとは言えないニコノシッポだが、オープンと同時に続々とお客さまがやってくる。家族連れやカップル、お一人で通い詰める猫好きさんも多く、幼い子どもたちも猫のご機嫌を見ながらそっと近づく様子がほほ笑ましい。
「この場所が、猫とふれ合い、猫を理解するきっかけにもなればうれしいです」と小川さん。

元気いっぱいの子猫たちは、早々に里親が見つかる
猫たちの写真を撮っていると、隣の席の子どもが「あっちにも猫がいるよ」と教えてくれた。
ラブリー度満点の「にゃんこカレー」が運ばれる先を目で追っていたら、注文したお客さまが「可愛いですよね! 写真を撮られるならどうぞ」とほほ笑みかけてくれた。ここでは猫を中心に、猫を介在して、あたたかいコミュニケーションの輪が広がっている。

コーヒーやトースト以外にも、猫をモチーフにしたメニューがたくさん
「『ニコノシッポ』が、人と猫と、さらには環境や福祉を考えるコミュニティの中心の役割を担うことができれば、なによりの喜びです」と小川さん。
さまざまな事情で保護猫となったコたちに丁寧に寄り添い、幸せになる道へと導いていく。
近江の山ふところに抱かれた地で、生きとし生けるものがゆったりとくつろげる空間がしっかりと根を張っていた。

ニコノシッポ
滋賀県野洲市北櫻243-2 TEL 077-532-8908
営業時間:金~日曜、祝日10:00〜17:00 定休日:月~木曜
Instagram:@nicono_shippo
(文・写真 鈴木美紀)
フリーライター。現在は三代目の猫「まふぃん」にかしずく日々。著書に『現代にゃん語の基礎知識』『花のある風景』。小さなねこ図書館を開くのが夢。




