「午後にだけ現れる彼ら」
美しい猫がいた。
青い目、シャム猫のような毛並み、チャームポイントのボブテイル……。
そう、高貴な猫。
そしてその美しい猫に寄り添う、ボディーガードの様な精悍なもう一匹の猫。
彼らは午後にだけ現れる。
不思議な事に午前中はどこで何をしているのか全く判らない。
美しい猫達はあざ笑うかの如く、いつも高い場所から僕を見下していた。
だけど。
見てしまった、午前中の彼らを。
彼らはゴミ集積場で食事をしていた。
つまりゴミを漁っていた……(ゴミは朝出されるからね)。
その時、美しい猫と目が合った、合ってしまった。
あくる日。
彼らはもう高い場所に居なかった。
ニャーニャー言いながら僕に近づいてくる。
ああ、なんか悪かったね。
あの現場を見た事で彼らのプライドは粉々になったのか、開き直ってしまったんだ。
あれ以来、僕の操るねこじゃらしに楽しそうに飛びつく美しい猫たち。
もちろん今でも高貴な頃の面影は残っている。
けど美しい猫様、相変わらずお美しいですねと問いかけても反応はない。
text&photo/Kenta Yokoo