この世界の片隅で、ネコ。EP:77「母は強し」

長屋の猫たちのなかで最も美しい三毛猫。美しいがゆえ孤独だ。最初はその美しさから高嶺の花と思われ孤独なんだと思っていた。

女王然としていて近寄りがたいオーラを醸し出していた。

だけど見てしまった…彼女の恐ろしい面を。

長屋の黄色猫がのほほんと日向ぼっこしていた。あー気持ちいい♪

そこへ三毛猫がやって来た。なぜか初めから黄色猫にいちゃもんをつける様に威嚇する。シャー!

当然、黄色猫は"?"となっていた、が、次の瞬間。バチーン!

ものすごい左ストレート猫パンチを三毛猫が繰り出した。黄色猫は見事にKOされた…。

「アタシのものはアタシのもの、おまえのものはアタシのもの」

とでも言わんばかりに黄色猫が日向ぼっこしてた場所でぐうぐう寝始めた…。

また三毛猫の牙は人間にも。彼女の近くで他の猫を撮影していたら、足元から"バリッバリッ"と音がする。下を見ると女王が"シャー!"といいながら靴に爪をたててバリバリやってる!

「アタシを写しなさい!」

とでも言ってるのだろうか…恐ろしい。彼女はクィーン、女王だ。

だけどイケメン猫と恋をして初子を産んだ女王、するとどうだ。日々の忙しい子育てが彼女を変えたのか、すっかり優しいオカンになった。

"ママ友"も出来たみたいだ。

孤独だった女王の影は、もうない。

子育てを終えてひと段落経った頃、僕は女王に労いの意味を込めて背中をなでると…

「シャー!バチーン!」

すごい猫パンチをくらった…母は強し、か…。

TEXT&PHOTO/KENTA YOKOO

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