「8の子分、0くん」
ひょんな事から飼い猫になったハチ(雄)。
背中に"8"の模様があるので名付けられた。
そんなハチに子分が出来た。ハチの飼い主さんは名付けた…ゼロ(雄)と。もちろん背中に"0"の模様があるからだ。
ゼロはハチにべったりついてまわる。ハチもなにか縄張りを案内しているようで、"ここからはチャトラの縄張りだ"とか"この家のばあさんは猫嫌いだから気を付けろ"
とか教えている。しかし…。
ゼロ、ハチにけっこう似てるなぁ…。
飼い主さんによると、ある日突然、ゼロを連れて家へ戻って来たらしい。それ以外はわからない。
そういえば、ハチは地区最弱の猫。最近はライバルのいない通りの向うにいて、餌と寝る時に帰ってくる。ならばハチについて行ってみよう。ハチ、ゼロ、ボク。3匹が一列に歩き向う側へ。
すると。
「あら、ヒョットコ」
と声をかけられた…ヒョットコって誰、まさかボク?ではなくハチのことだった。よかった…。
そのおばさんはハチたちの面倒をいろいろ見てるらしく、地区の猫事情に詳しかった。結論から言うとゼロはハチの息子ではない。この辺りのブチ猫が産んだ子だそうだ。しかし母猫はどこかに行ってしまったらしく、たまたま居たのがハチ。
みなし子、ゼロは自分によく似たハチを親に見立てたのだろうか…。
飼い主さん家でハチと一緒に眠るゼロ。まるで本当の親子だ。
"親分、親分!"だろうか"父ちゃん、父ちゃん!"だろうか。
ハチを追いかけるゼロ。ハチも子分ができ、まんざらではなさそう。よりにもよって地区最弱の猫の子分になるとは…鳶が鷹を産むか注目だ。
text&PHOTO/Kenta Yokoo