「ひょっこりにゃん」
『深淵を覗き込むとき、深淵もまたこちら側を覗き込んでいるのだ』
という有名な言葉がある。これはまさに猫にピッタリあてはまる。
ネコの写真を撮っていると、ふとした時に視線を感じる事がある。
そんな時、そちらを向くと…
「チラッ」
と見知らぬネコと目が合う。大体、塀越しに見られていたことが多い。
「ジーッ」
と見つめ合ってはいけない。手を添えてこちらを観察していたネコは凝視されると
「ヒョイッ」
と塀の下に引っ込んでしまうのだ…。恥ずかしがり屋さんめ!
ある日、やはり視線を感じた。チラッと一瞥すると初めて見る白猫が僕を観察している。そういう時はすぐに目を離し、後ろを向く。そして携帯電話なんか取り出して"あれ?おかしいな"とか言いながら操作するフリをする。
後は暫く待って…ゆっくり…
「ソロリ」
とあわてずに振り返ると…いなくなっている!
何をしても半分くらいは最初に目が合った時点で逃げられてる。
たま~に「ニョッキリ」
と再び顔を覗かせる事もある。わ!嬉しい!と慌ててカメラを向けると
「ビュッ」
凄い勢いでまた隠れる。もぐらたたきじゃないんだから…。
『ネコを覗き込むとき、ネコもまたこちら側を覗き込んでいるのだ』
かの言葉はそうとも言えるかもしれない。
text&photo/Kenta Yokoo