「はてにゃん」
下町に猫の集まる細い路地がある。
路地を忙しそうに行きかう猫、暇そうに寝たり起きたりしてる猫、様々だ。
その中にボブテイルのハチワレがいた。
なにかニャーニャー言い訴えているので「なに?」と声に出して聞くと
「?」
と首をかしげる。
いや、あなたが何か訴えてきたのでは…。
面白いので「なに?」と聞くとまた「?」と首を傾ける。
面白いなこの子…。
しばらく観察していると友達が多いようで度々、鼻と鼻をくっつけ挨拶していた。
すぐ近くのクリーニング屋さんに聞くと「ああ、首を傾げるのがカワイイよね」と仰っていた。
それから間をおいて
「たぶん捨て猫だろうね、人に慣れてるから…」。
「大変だったね」と声をかけると
「?」
と相変わらず首を傾げる。
ごめんよ、人間の言葉なんて解りたくないよね。人間の勝手な都合で振り回したんだからね。よしよし、をしようと思って手を差し出すと
「ニギャ―!」と猫パンチ。
そんなあ…。
そりゃ突然手を出したからビックリしたのだろうけど…。
「ごめんなさい」
と、いろいろ込めて誠実に謝ると、やっぱり首を傾けて「?」とやる。
そして友達の方へタタタと駆けていった。
変わった猫だなぁ。
僕も「?」となってしまった。
text&photo/Kenta Yokoo