「ブサカワな猫、ノリ」
ノリという名の猫。
しかしノリはノリなのだがノリではないのだ。
ある所では「くぅ~ちゃん」と呼ばたり別の場所では「ピ~ちゃん」と呼ばれてる。
ほら、外猫が色んな家を行き来して各々名前が違うという、アレ。
でも一貫してるのはこの緊張感の無い名前。
そんな猫なのだ。
牛のような性格でなんでものんびり。
牧場で牛と一緒に草を食んでいても少しも不思議じゃない。
けどノリを怒らせた事が一度だけある。
背中を撫でたりして遊んでいた時。
「おまえブサイクだなぁ」
おもわず口をついた。
するとどうだろう。
観音様の様な顔が一変、修羅の様相となりスタスタと何処かへ走って行ってしまった…。
猫も言葉のニュアンスで馬鹿にされたとか褒められたか分かるのだ。
ノリ、あの時はゴメンよ。
それ以来、「おまえは美しいな」とおべっかを使ってる。
満更でもない様子。
いやあ、猫は不思議だ。
でもブサイクだろうが牛だろうがノリは世界で一番、カワイイ。
きっとくぅ~ちゃんもピーちゃんも同じく、世界で一番、カワイイんだ。
text&photo/Yokoo Kenta