猫は、歳を重ねるにつれ爪をとぐ力が弱くなったり、毛づくろいができなくなったりと、なかなか猫自身でのお手入れが難しくなってくるもの。そこで、YouTubeの動画が人気の三ツ池動物病院の稲垣絵里子先生に、少しでもシニア猫たちが快適に過ごせるよう、私たち飼い主でもできるケアの方法を聞いてみました。
また、稲垣先生が実際にケアのポイントを説明しながら猫たちをケアしているYouTubeの動画にも移動できるので、気になる方はぜひチェックしてみてください！
監修・三ツ池動物病院/稲垣絵里子
酪農学園大学獣医学部卒業。日本獣医中医薬学院にて獣医中医師１級、獣医推拿整体師を取得。昔から生き物が大好きで、愛猫のくーちゃんを亡くした後は、元病院猫のれいちゃんを家族に迎え、元保護鳥のオカメインコのピヨちゃんと一緒に暮らしている。
ブラッシング
どうして毛玉はできるの？
猫の毛質や毛量によって毛玉のできやすさは変わります。細く柔らかい絡まりやすい毛だと、抜けたときに絡まって毛玉となってしまいます。また、体質的に皮脂の多い子もべたつきから毛が絡まりやすくなってしまいます。
ブラッシングに使う道具
スリッカー：手早くもつれを取るのに最適
ラバーブラシ：チクチクするのが嫌な子におすすめ
コーム：仕上げに。毛並みを整える
ノミ取り用コーム：顎下など細かいところに。小さなフケも取り除ける
ブラッシングのポイント
フェルト状の毛玉が皮膚に密着するようにできてしまった場合、毛玉と皮膚の間にくしを入れて、皮膚から離した状態でハサミで切り、切った後はスリッカーでほぐしていきます。
注意！ヨコ向きに切ると皮膚を切ってしまう恐れがあるので、ハサミは必ずタテ向きに使いましょう
毛玉と皮膚の間にくしを入れて、タテ向きにはさみを使う
Before
After
毛玉やもつれが取り除かれると体も楽になり、過ごしやすくなります。
さらに詳しく！
【ご長寿猫24歳】毛玉取りで分身ができるほどの毛玉の山ができました！
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爪切り
猫の爪の構造
猫の爪は玉ねぎのような層状になっていて、外側のほうが古い爪です。爪とぎをすることで、古い爪が剥がれ落ちますが、シニアになると爪とぎの頻度が減る、もしくは爪とぎをしていても力が弱くなってとげないこともしばしば。
古い爪が残ったまま新しい爪が作られると爪が厚くなり、巻き爪になってしまいます。巻き爪を放置すると肉球に刺さってしまうこともあるので、定期的な爪切りが必要です。
爪切りのポイント
猫だけでなく飼い主さんも爪切りが苦手、という方が多いと思います。まずは飼い主さん自身が慣れなければ猫ちゃんにもその不安が伝わってしまいます。
猫の爪の構造を理解し、この辺りまでは切ってOK、とすべての指の爪を素早く切れるようにシミュレーションしてみましょう。ストローなどを使って練習してみてもいいかもしれません。
一般的なギロチンタイプの爪切りの穴に入らないほど太くなってしまった爪は、ニッパータイプのもので切ってみましょう。爪は切っていくうちに古いものがぽろぽろと剥がれてきます。爪の伸び具合は1ヶ月に1回程度、確認すると◎。
ギロチンタイプ
ニッパータイプ
猫の場合、後ろ手が負担の少ない体勢。猫の楽な姿勢、許してくれる姿勢を探してみましょう。
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【老描の爪切り】爪の形がこんな風になってきます
健康診断
健康診断って行かなきゃダメなの？
10歳を過ぎた猫には、半年に1度の健康診断をお勧めしています。私たちの感覚では半年に1度ですが、人間の約4倍の速度で歳を取る猫にとっては2年に1度くらいの感覚です。どこも悪くないのに病院に連れていくのは可哀想、と敬遠せずに定期的な健診をお勧めします。
一般的な血液検査に加え、「甲状腺ホルモン値」も調べてみよう！
10歳以上の猫に多く見られるのが「甲状腺機能亢進症」です。甲状腺ホルモンが過剰に分泌されてしまい、過活動気味になったり、食欲はあるのに痩せていくなどの症状が見られます。10歳になったら、腎臓や肝臓の値だけでなく、甲状腺ホルモン値も見てもらいましょう。
画像検査（超音波検査やレントゲン検査）も受けてみよう！
シニアになった猫には、悪性腫瘍がないかも心配です。腫瘍の有無は血液検査だけではわからないので、かなり進行した状態で初めて気づくことも。画像検査を行って早期発見へつなげましょう。
超音波検査
レントゲン検査
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【高齢猫の健康診断】必要な血液検査項目とは？
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三ツ池動物病院
インフォームドコンセント（医師が病状や治療方針を分かりやすく説明し、患者の同意を得ること）の徹底を図り、ペットにやさしく、飼い主が納得できる診療を心がけている。
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イラスト：すしず
Text by Miyahara Mayuko