できると安心! シニア猫のケアを実践 │耳・目・口・顔のマッサージ

猫は、歳を重ねるにつれ爪をとぐ力が弱くなったり、毛づくろいができなくなったりと、なかなか猫自身でのお手入れが難しくなってくるもの。そこで、YouTubeの動画が人気の三ツ池動物病院の稲垣絵里子先生に、少しでもシニア猫たちが快適に過ごせるよう、私たち飼い主でもできるケアの方法を聞いてみました。

また、稲垣先生が実際にケアのポイントを説明しながら猫たちをケアしているYouTubeの動画にも移動できるので、気になる方はぜひチェックしてみてください!

監修・三ツ池動物病院/稲垣絵里子

酪農学園大学獣医学部卒業。日本獣医中医薬学院にて獣医中医師1級、獣医推拿整体師を取得。昔から生き物が大好きで、愛猫のくーちゃんを亡くした後は、元病院猫のれいちゃんを家族に迎え、元保護鳥のオカメインコのピヨちゃんと一緒に暮らしている。

ケアのポイント

猫によっては、かごの中に入ると落ち着いてケアをさせてくれるようになる子も。

猫ちゃんの性格に合わせて、その子の一番落ち着く体勢、嫌でない体勢でケアしてあげましょう。

 

耳のケア

猫の耳の構造


猫の耳は人間とは違い、鼓膜までの道がL字型(垂直耳道・水平耳道)になっています。そのため、水平耳道の中の耳垢は取ることができません。奥の方の耳垢を無理に取ろうとすると傷つけてしまいます。

猫の耳には耳垢を外に出そうとする自浄作用があるので、それをジャマしないように耳の入り口付近に溜まっている耳垢をやさしく拭いとる程度にしましょう。

準備するもの

綿棒、コットン、洗浄液(犬猫用)

※猫の耳道はL字型のため、耳に入った水が蒸発しにくい環境です。湿った状態が続くと感染の原因につながってしまうので、三ツ池動物病院では揮発性の高い洗浄液を使用しています。

ケアのポイント

ひだの間の細かい部分は、洗浄液で濡らした綿棒でひだの間の見える範囲の汚れを取ります。耳全体の大きい面は洗浄液で濡らしたコットンで、指の届く入り口付近を拭いましょう。


ひだの間の細かい部分は綿棒で


耳全体の大きい面はコットンで

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【高齢猫の耳掃除のやり方・綿棒の使い方】25歳猫ドロドロ耳がスッキリぴかぴかに!

 

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目のケア

どうしてシニアになると目やにが増えるの?

シニアになると、加齢による体の水分量の低下や腎臓病などによる病的な脱水により目がおちくぼみ、眼窩と眼球の間に隙間ができやすくなり、目やにがたまりやすくなります。

ケアのポイント

新陳代謝による正常な目やにでも、長時間ついたまま放置すると雑菌が繁殖してしまい、皮膚炎が起こる場合があります。黄色、緑色っぽいものや粘性のあるものは病気の可能性があるので、かかりつけの先生に相談してみてください。また、免疫力の低下したシニア猫は感染性の眼疾患も起きやすいので、日ごろから注意しましょう。

濡らしたコットンをやさしく目頭に押し付けて、親指の熱で温めてもみながらふやかして拭います。温めた蒸しタオルを使用しても◎。

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口のケア

シニアからでも歯みがきは遅くない?

口腔内の環境は歯や口臭だけにとどまらず全身に影響します。歯周炎で出血した血管から歯石の中の雑菌が入り込んで全身に回り、腎臓や肝臓、心臓などの内臓疾患の引き金になることも。免疫力の低下するシニアだからこそ口内ケアが重要です!

ケアのポイント

歯垢は3~7日で歯石になってしまうので、毎日夜寝る前に歯みがきできるのが理想です。毎日が難しい場合でも、最低でも3~4日に1回は歯みがきしましょう。歯ブラシを使っての歯みがきはかなり難易度が高いので、最初から無理せずにお口まわりを触るところから始めて、指に巻くタイプの歯みがきシートなどで歯をこすってみましょう。

嫌がって口元を触らせてくれない猫でも、根気強く毎日「触る」という刺激を与えるのが大切。口元を触ったり、唇の上から歯に触れたり、慣れてきたら犬歯を人差し指で触り、スライドさせるように奥歯まで触ってみましょう。

 

触らせてくれるようになれば、いよいよ歯みがき実践です!

最初から歯ブラシを使うのは難しいので、まずは指に巻くシートを使って歯をこすってみましょう。慣れてきたら徐々に歯ブラシでの歯みがきに挑戦です。

 

さらに詳しく!

【猫の歯みがきのやり方初級編】歯みがきシートでのやり方と歯みがきおやつの紹介

 

顔のマッサージ

マッサージするとどんないいことがある?

シニアになった猫は、遊ぶことも少なくなり、飼い主さんとの触れ合いの時間は若いときに比べると減ってしまうかもしれません。そんなときは、顔まわりのマッサージでコミュニケーションをはかるとともに、リンパの流れをよくすることで猫の健康にもつながります。

また、歯みがきする際にも、顔まわりを触らせてくれることが最初のステップとなるので、シニアになったら積極的に顔まわりをマッサージしてあげましょう。

マッサージの手順

①手のひらに顎を載せてマッサージの合図をする

②鼻の横から耳の付け根まで親指で撫で、目頭から耳まで撫でる

③頬から耳にかけて親指でぐい~っと撫でる、耳の付け根をなぞるように撫でる、耳の後ろ側までぐるっと一周させる

④耳の付け根、こめかみあたりをもむ

⑤左右の顎下のリンパ節をもみ、首元まで流す

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【25歳猫の顔マッサージのやり方】とろけすぎてやめ時がわかりませんでした

三ツ池動物病院
インフォームドコンセント(医師が病状や治療方針を分かりやすく説明し、患者の同意を得ること)の徹底を図り、ペットにやさしく、飼い主が納得できる診療を心がけている。

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イラスト:すしず
Text by Miyahara Mayuko

-ケア, シニア猫