元保護猫の愛されリーダー　ビビ

メリハリの効いた力強い色合いの三毛柄と柔らかい手触りのギャップ、
見る角度によって印象が違う美しい模様にうっとりします

年齢：12歳
体重：4.7kg
性別：女の子

どこからともなくやってきた一匹の野良猫。その警戒心と孤独に満ちた瞳の奥には、天性の包容力とリーダーシップと、お家に幸せを招く力が秘められていたのでした。

文・写真 bibikoniko

野良から家猫に転身

ビビは突然ふらっと現れた野良猫でした。警戒心が強くて凶暴で、ゴハンをあげるにも軍手が必要でした。それが私の姿を探したり、歩み寄ったりするようになり、2ヶ月くらいかけて私の前でゴハンを食べてくれるようになりました。
3ヶ月ほどしたある日、玄関の中にゴハンを置いて、夢中で食べているところで引き戸を外からそっと閉めるという方法で保護しました。そこではじめてビビを抱っこした瞬間、ビビがストンと腰を抜かしそうな感じになっていたこと、思った以上に軽かったことを今でもはっきり覚えています。保護した時は2kg台でした。

野良時代のビビ。当時は触ることもできなかったのに、
家猫になって抱っこも撫でられるのも大好きに

保護して1週間は3段ケージで過ごしてもらいました。鳴きはしても出ようとすることはなく、初日からトイレを使ってくれて、ゴハンも水もちゃんと取ってくれたので「賢いな」と感心したものです。

ニコも三毛猫だけど色が淡い毛と濃い毛が混在する珍しいタイプ

ケージを出て部屋で自由に過ごすようになると、フードの袋を破って食べたり、オモチャの羽根の部分をかじったりしました。寄生虫が出てきて動物病院に連れていった時には、「この子は生きたヘビや鳥を食べていたのでしょう」という獣医師の言葉に、ひもじく過酷な野良生活を垣間見るようで涙が出ました。

しばらくして我が家が安全だとわかると、私たちの動きに過敏に反応しなくなり、気に入った場所で寛（くつろ）ぎ眠るようにな
り、徐々に穏やかに過ごしてくれるようになりました。

猫たちのまとめ役

それから2年ほど経って、ビビが快適に暮らせるようにと私たち夫婦は家を新築しました。そこで新しい家族を迎えようと見ていた里親募集サイトで子猫だったニコ（現在9歳♀）に出会いました。しかし当時の私は、2匹目を迎える時のセオリーも知らず、トライアルでいきなりビビと対面させてしまったのです。当然どちらも「フー！」「シャー！」でした。

同居猫①　ニコ
マイペースなおてんば娘
おてんばで誰より気が強い。勝手気ままでマイペース、ひとりで過ごして、気が向けば家族に甘える猫らしい猫。

その反省もあって、正式譲渡の際はニコを1週間隔離してから対面させました。はじめこそ好奇心旺盛でお転婆な子猫にとまどっていたビビですが、毛繕いをしてあげたり、追いかけっこに付き合ったりと、次第にお世話をしてくれるようになりました。そして、ニコにぴったりついて、家での過ごし方を教えてあげているようでした。

その3年後の台風が過ぎた夜、夫が近所の小学校で捨てられていた子猫のラキオ（現在6歳♂）を保護し、しばらく経ってから思い切って我が家の3匹目としてお迎えすることにしました。

同居猫②　ラキオ（本名・ラッキー）
ビビが大好きな暴れん坊
朝から晩までビビにベッタリの甘えた。趣味はニコにちょっかいを出すこと。暴れん坊だがハートはナイーブで繊細。

ビビはニコで慣れていたので、子猫の扱いがとても上手です。ほどよく距離を保ちながらすぐに仲良くなりました。ニコははじめての子猫に興味津々だったものの、傍若無人でパワフルすぎるラキオを持て余し気味でした。この時期の関係性が今に至るまで続いているように思います。

ニコが子猫のころからビビはよく遊びに付き合っていました

ラキオはビビをお母さんだと思っているかのように全力で甘えます。

仲良く食事の時間。食い意地はビビが上かも

ビビが起きるとラキオも起き、常に行動をともにし、ビビにカメラを向ければもれなくラキオも写るほどです。

ニコもラキオもビビが大好き

ラキオとニコは対等でケンカがちな姉弟のようになりました。2匹の取っ組み合いにビビは一切ノータッチで「またやってるわ」と観察するのみです。彼らがケンカをしながらも一緒の部屋で寝たり、留守番したりできるのは、ビビの並外れた協調性と包容力あってこそだと思います。

ニコの新人教育

うちの日常

特別な存在

私たちがビビを保護したころは、夫婦で新しくお店を始めたばかりで、不安がちな日々でした。それがビビを迎えたころから軌道に乗って、今もいいお客様に支えられながら続けられています。ビビは幸運の招き猫でもあり、人間不信を克服して私たちに心を開くことで猫の素晴らしさを教えてくれた特別な存在です。個性が強いニコやラキオもビビがいるからのびのび楽しく過ごせるのでしょう。