大阪の路地裏にある民家カフェ。6年前、そこにたどり着いたのは、一匹の小さな黒猫。今では、看板猫を務めます。 シジミ、ってアタシの名前は、ゆいこさんがつけたの。 ゆいこさんは、大阪の古い町の路地でカフェをやっているの。アタシは、そこの看板猫。「いらっしゃいませ」とまずはご挨拶しといて、お食事中は遠慮するけど、食べ終わった頃を見計らって、ぴょんと膝乗りするのが、アタシ流接待よ。ニンゲンが大好きなの。 7年前、捨てられたアタシがお腹を空かせてたどり着いたとこは、この店の前だった。ガラスの引き戸のすき間から、オレ ...