海辺の公園に捨てられた子猫は、里山に。「福猫になあれ」と、「福」という名をもらった。 福くんの橙色の瞳は、毎日毎日、新しいものを発見しては、輝いている。 草むらや畑や小道の匂いを嗅ぎ回って遊び回るから、鼻先にいつも土がついている。 もう、寒くてひもじくて怖くて、公園で震えていた独りぼっちじゃない。 拾ってくれた人が家では飼えなくて、連れてきてくれた里山では、犬や猫がわんさか迎えてくれた。 迷い込んだり持ち込まれたりした保護犬・保護猫たちで、もういっぱいいっぱいだったのに、行くところのない子猫を受け入れてく ...