里山の子、さっちゃん

2022/3/11

里山の子、さっちゃん EP:12「里山で生きる」

もうすぐ春。さっちゃんがここに来て「幸多かれ」と「サチ」という名をもらって、10回目の春です。 さっちゃんたちの暮らす里山に、四季は巡ります。 春の里は菜の花色に染まって、ウグイスの声。ヤマザクラが咲いて散り、畑では、青物がぐんぐん育ちます。 夏休みは、花はなの里をかけ回る子どもたちの歓声が里山に響き、トンボが乱れ飛びます。 犬も猫も思い思いに、風の通り抜ける場所でお昼寝。 秋には野山はオレンジ色。猫たちは連れだって、落ち葉の道を遠足に。 冬の猫たちは日なたを移動。野水仙がいい香り。日が陰ったら、猫小屋の ...

2022/3/11

里山の子、さっちゃん EP:11「でっかい新入り」

今度やってきた新入りは、図体のでかいやつ。がつがつ食べて、ウンチもでっかい。 猫小屋にセンセーションが巻き起こりました。 レモンおばさんとララおじいちゃんが旅立つのと入れ替わるように、新入りがやってきました。これまでの新入りと言えばたいていが、いたいけな子猫でした。 ところが……。やってきたのは、新入りという言葉からほど遠い雰囲気の、でっかいやつ。それに、どう見ても、捨てられたばかりの飼い猫でもありません。 猫小屋のみんなとうまくいくか、様子を見るためにケージハウスに入れられた大猫は、「ちくわ」という名前 ...

2022/3/11

里山の子、さっちゃん EP:10「巡るいのち」

やってくる猫たちを分けへだてなく可愛がってくれた先輩猫たち。 いのちのバトンを受け継いで、里山の子は元気に生きていきます。 里山のムードメーカーだった三毛猫のレモンおばさんが旅立ったのは、里にコスモスが咲き乱れる季節。 元は、海辺の公園に捨てられていた子猫。さびしがり屋で、ごはんをくれる人の足にまとわりついて離れなかったため、ダムに連れてこられたのでした。 陽だまりのような穏やかな性格で、新入り子猫がやってくると、さりげなく散歩に付き添ったり、安心させるかのように寄り添ったり。どの猫からも慕われていました ...

2022/3/11

里山の子、さっちゃん EP:9「サチとゴロー」

さっちゃんを見つけるとすぐにかけ寄りスリンとするゴローくん。 甘えたいのか、守りたいのか、とにかくさっちゃんが大好きのよう。 「あ、さっちゃんだ!」 遊びに夢中になっていても、遠くにいても、さっちゃんを見つけるや、ゴローくんは飛んでいきます。さっちゃんのあごの下に、頭をさしこんで、スリ、スリ、スリン。 あれ、さっちゃんがコケちゃた。しまった、という表情のゴローくん。そーっとスリンしたはずなのに。でも、毎回、スリスリはやめられません。 だって、さっちゃんが大好きだから。さっちゃんをひとりぽっちにしときたくな ...

2022/3/11

里山の子、さっちゃん EP:8「さっちゃんの 夏休み」

さっちゃんのガールフレンドは、そうちゃん。夏休みになると、家族と一緒にキャンプ場に泊まりに来ます。 夏休みの里山は、のんびりムード。長平パパや麻里子ママは変わらずいそがしいけれど、犬猫たちは、思い思いに好きな場所でくつろいでいます。 カフェのテーブルの上で昼寝しているのは、かっちゃん。昼寝場所はその日によって違って、ピザを焼く窯の前だったりします。 ハッピーは、カフェの前の石段が好き。山からの涼しい風が通り抜けるし、お客さんが来たら、おやつをおねだりできるから。 山側の緑の木陰を散策しているのは、ライムち ...

2022/3/11

里山の子、さっちゃん EP:7「3きょうだい」

またまたやってきたのは、長毛3兄妹。 事故で亡くなった母猫の帰りを、雨の中、身を寄せ合って待っていました。 ゴローくんが、猫小屋のそばに積まれた、お風呂用の薪の上で日を浴びています。賢そうな眼をした子です。 弟は、ヒデキ。妹はヒロミ。 そう、かつてのアイドル歌手の「新御三家」からとった名前です。 兄妹は、ひと月半前に、海辺の公園からやってきたばかり。 捨て猫の名所になっている公園に捨てられた母さん猫から産まれた子です。母猫は交通事故に遭い、遺のこされた子猫たちは、冬の冷たい雨に打たれ、身を寄せ合っていたの ...

2022/3/11

里山の子、さっちゃん EP:5「赤ちゃん猫がやってきた」

生まれて間もない赤ちゃん猫がやってきました!さっそくママ役を買って出たのは、ハッピーとさっちゃんでした。 4年前の初秋のこと。生まれてまだ2週間くらいの赤ちゃん猫がダムに持ちこまれました。 ノラ母さんが戻らず、一昼夜野ざらしにされていたのです。 哺乳瓶に小さなツメを立てて、むしゃぶりつく子猫の「生きようとするチカラ」に、麻里子ママは目を見張りました。 子猫は夜更けに持ちこまれたのですが、翌日は豪雨。危機一髪でした。 その夜、子猫に添い寝してくれたのは、さっちゃん。出ないおっぱいをまさぐる子猫のために、マヒ ...

2022/3/11

里山の子、さっちゃん EP:4「山猫母さんの子たち」

ふわふわの長毛を持つキジトラ兄妹、バジル、ウメ、シソ、ヨモギ。そっくりさんで麻里子ママもすぐには見分けがつきません。 さっちゃんの後も、ダムには次々と捨て猫や迷い猫が持ちこまれました。 庭に迷いこんだおうちのおばあちゃんが猫嫌いだったため、3か月の時にやってきたサバ白のイチロー。 花屋さんの店先のバケツの中にポンと入れられたままだった子猫は、ミカン。右手を骨折していて、しばらく添木を当てていましたが、ハッピーとサチがそれはよく面倒を見ました。 ハッピーが山からくわえてきた子猫のウブと、神社の軒下にひとりぼ ...

2022/1/20

里山の子、さっちゃん EP:3「迷い犬だったハッピー」

ダムの犬猫たちのやさしいお母さんはふたり。麻里子ママと、気のいい雑種犬のハッピー母さんです。 「ハッピー!」 そう呼びたくて、ここに迎え入れた迷い犬に、麻里子ママはその名を付けました。 毎日、里山に響き渡るようにその名を呼んだら、さぞ気持ちがいいだろうと思ったから。 ハッピーがダムにやってきたのは、10年前。 捨てられたのか、迷って家に帰れなくなったのか。ある日、近くの保育園にお腹を空かせてやってきて、居候に。 2ヵ月たっても里親は見つからず、見かねた麻里子さん夫妻に引き取られました。 その半年後、さっち ...

2021/12/28

里山の子、さっちゃん EP:2「さっちゃんがここに来た理由」

さっちゃんたちの面倒を見てくれる麻里子ママは、小さなオートキャンプ場と小さなカフェをひとりで切り盛りしています。 カフェの名は「ダム」。近くにダムがあるからです。 カフェのまわりにはいつも犬や猫がいて、思い思いにくつろいでお客を迎えます。 ピザを焼く窯の上にも、カフェの店内にも、カフェの前に広がる原っぱにも。 さっちゃんがたいていいるのはカフェの中。寒い季節にはストーブのそばでまったりしています。 さっちゃんはよく小さなお客さんに話しかけられています。 この日は、しゃっくりが止まらず「大丈夫?」と心配して ...

2021/12/22

里山の子、さっちゃん EP:1「さっちゃんの1日」

この本に登場するさっちゃんたち17匹の猫と、ハッピーたち7匹の犬が暮らしているのは、千葉県の房総半島の真ん中あたり。 広い空。 吹き抜ける風。 里山の原風景を彩る季節季節の草花。 朝は、ニワトリが鳴き、夕べには、薪をくべる風呂焚きの煙がたなびきます。   さっちゃんおはよう。 朝ですよ。 良く晴れて、気持ちのいい一日になりそう。 朝ごはんの後、麻里子ママが猫小屋の戸を開けると、猫たちはいっせいに外に飛び出していきました。 隣のおばあちゃんがもう畑仕事に精をだしています。猫たちが畑で遊んでも、おば ...

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