この世界の片隅で、ネコ。

2019/7/5

この世界の片隅で、ネコ。EP:69「ハンター、フサ子」

猫は虫が好きだ(勿論それぞれ好みがあるだろうが)。飛んでる虫を捕まえようとして失敗する、猫好きならそんな場面に出会った事があるだろう。 そんな時、猫は「なかったこと」にして「僕は関係ないよ」と泣き笑いの様な顔をする。 下町のお寺で暮らす猫。フサフサの毛なので単純に「フサ子」と勝手に名付けた。 お寺の方によると昔は頻繁にネズミやヘビ、虫を採ってきては皆に見せて自慢していた。相当のハンターっぷりだ。 しかし子供が出来てからのフサ子は日がな一日お寺の境内で寝て過ごし、子供の世話を焼いたりしている。 今日もぐうぐ ...

2019/7/3

この世界の片隅で、ネコ。EP:68「クロネコ」

猫の柄・模様は24種類あるそうだ。その中でも特に黒猫が好きだ。理由は黒色がファッションでもインテリアでも好きだからだが、黒猫はそれだけじゃない。 彼らは総じてどこかミステリアスで賢いイメージがある。 東京・神楽坂もんじゃの営業部長、クロミちゃんは体はとても小さいのだが、目が大きくて相当な美人だ。 それでいてお転婆だが接客はなかなかのもの。初めてのお客さんが抱っこしても怖がらず触らせてくれるのだ。 このお店で今まで敬遠してたもんじゃを初めて食べた。とても美味しくてはまってしまい上京したら必ず訪れる。 &nb ...

2019/4/12

この世界の片隅で、ネコ。EP:66「兄弟」

「兄弟」 あるお寺に仲の良い2匹の猫がいた。 ジュンという兄貴分とイチロウという弟分。 血の繋がりはないがジュンはイチロウが仔猫の頃から可愛がったので兄貴を慕っている。 ジュンは桜の木によく登る。 春になり開花すると花見をしている様な素振りが近所で評判となり「花咲か猫」と呼ばれていた。 ところが春間近、ジュンは不慮の事故で虹の橋を渡ってしまった。 そしてイチロウが迎えた初めての春。 満開の桜の下、残されたイチロウは兄貴を真似るようにして木登りに挑戦するが、怖いのかへっぴり腰で上手く登れない。 登ろうとして ...

2019/4/5

この世界の片隅で、ネコ。EP:65「お向かいさん」

「お向かいさん」 猫が集まるお寺のお向かいさんの家。おばあちゃんが一人で住んでいる。 檀家さんなのか、いつも夕方になると家の前のみならずお寺も掃除している。 お向かいのお家の二階に物干し場があり、どうやって入り込むのかそこで猫が昼寝を決め込んでいる。これにはお向かいさんも苦笑していた。 物干し場までの"行き方"を知っている猫のみが辿り着ける特等席。 いままで3匹しかここにたどり着けていない、ほとんどの猫が知らない場所。 夏はお寺の桜の木が太陽を遮り絶好の納涼スポット。 シャムモドキがよく"あぢー"と言わん ...

2019/3/28

この世界の片隅で、ネコ。EP:64「花咲か猫ジュン様」

「花咲か猫ジュン様」 「あれ、こんなところまで来るの!?」 神出鬼没な猫、ジュン様。 移動範囲が広くて意外な場所で出会う事が何度もあった。 バッタリ出会うとちょっと恥ずかしそうな顔をして、野暮用だよう、とでも言ってるのか足早に去っていく。 クリーム色の毛並みが美しい。 飼い主さんの寵愛を受けているのだろう、お洒落な首輪をつけ、自宅にいる時はご近所の方々も驚くカッコイイ衣装を身に着けている。 粋だなぁ。 木登りが得意で、春には近くのお寺の桜の木によく登っている。花が咲いてないうちから登り、つぼみに話しかけて ...

2019/3/23

この世界の片隅で、ネコ。EP:63「8の子分、0くん」

「8の子分、0くん」 ひょんな事から飼い猫になったハチ(雄)。 背中に"8"の模様があるので名付けられた。 そんなハチに子分が出来た。ハチの飼い主さんは名付けた…ゼロ(雄)と。もちろん背中に"0"の模様があるからだ。 ゼロはハチにべったりついてまわる。ハチもなにか縄張りを案内しているようで、"ここからはチャトラの縄張りだ"とか"この家のばあさんは猫嫌いだから気を付けろ" とか教えている。しかし…。 ゼロ、ハチにけっこう似てるなぁ…。 飼い主さんによると、ある日突然、ゼロを連れて家へ戻って来たらしい。それ以 ...

2019/3/8

この世界の片隅で、ネコ。EP:60「猫の恋」

「猫の恋」 ボス猫が必死にアプローチしている三毛猫がいた。 しかし彼女は一向に介せず無視を決め込む。ボスはストーカーの様に彼女につきまとう。しかし彼女は同じ場所にさえ居たくないのか逃げまわる。 けれどある日を境にボスは何かを悟った様に彼女から手をひいた。そして突如、自然を愛す猫になり季節の花々や草木を愛で癒されていた。 たぶんフラれたんだろうな…。そのまま燃え尽きたのかボスの座からも自発的に降り引退した。 やがて月日は経ち三毛猫が3匹の子猫を産んだ。その中に…ボス猫そっくりの子猫がいた!恋は成就していたの ...

2019/3/7

この世界の片隅で、ネコ。EP:59「背番号8」

「背番号8」 春になって突如現れた猫。 満開の桜の下、不思議そうに舞い散る花びらを見つめている。人が近づいても物怖じせず、触っても逃げない。 おそらく捨て猫だ。 何も知らない、そんな無垢な表情を浮かべて花びらを追いかける捨て猫。 幸い、桜の木の向かいに住むBさんの家で飼うことになった。 名前はハチ。 背中に"8"に似た模様がある事と、末広がりの八で幸せになってほしいから。 ところが"ハチ"は猫を被っていた。 地域の猫達に喧嘩を売りまくる……あの無垢な表情はなんだったのか。毎日傷だらけで帰ってきて日に日にボ ...

2019/2/22

この世界の片隅で、ネコ。EP:55「猫の額ほど」

「猫の額ほど」 家々を仕切る塀。この狭い塀に地域猫が集まる。 ボランティアの方が水飲み場を設置しているのだ。 ある時。大きいホクロのある猫と茶トラがいた。 ホクロ猫が水を飲んでいる。茶トラは水を飲み終わるのを待っていた。猫一匹ぶんの広さの塀だ。おとなしく並んでいる。 そして写真撮らせてねー、と近づくとホクロ猫がダッシュで逃げてしまった!(ごめんね) 後ろに並んでいる茶トラの事などお構いなし。無理矢理ジャンプして飛び越える。 その時、茶トラは… 「やめろー!」とでも言っている顔!申し訳ないが笑ってしまった… ...

2019/2/21

この世界の片隅で、ネコEP:54「猫の幸福論」

「猫の幸福論」 なんとも運の悪い猫がいた。 エイト君。ボス争いでは機を逸し、嫁取りでは後塵を拝し、更に自転車に尻尾まで轢かれる。 まあ、なんというか"間"が悪い猫なのだ。人間にもこういうタイプがいる。 ハチワレは縁起が良いという人がいる。顔に末広がりの八があるからだそうな。しかし少し考えてしまう。ハチワレ自身の幸福はどうなっているのだろうか。 エイト君は少しも運が良いとは言えない、それどころか明らかに運が悪いほうだ。 ただ、彼の飼い主のおばあさんはこう言う。 「猫はいるだけで福をもたらすんだよ」 と。なに ...

2019/2/15

この世界の片隅で、ネコ。EP:53「ボスの定年」

「ボスの定年」 現在は橋のたもとで暮らす、長屋のボス。 いや、元ボスか。 彼は支配していた長屋を突然出奔し、周囲を驚かせた。別に誰かに負けた訳ではないのに、なぜ。 もともとかなりの乱暴者だった。常に子分を従えて長屋近辺をうろついていた。 新参者には容赦なく力を誇示して独裁政権を維持していた。 そんな彼が、なぜ。 ただもう彼もかなり歳だ。若い頃は陽当たりの良い屋根の上で日向ぼっこして暮らしていた。 が、屋根へ上るのも億劫になったのか最近は地上か、せいぜい駐車場のトタン上にいることがほとんどだ。 要するに、も ...

2019/1/31

この世界の片隅で、ネコ。EP:49「おばあちゃん」

「おばあちゃん」 もし死んだらどこにいくのだろう。そればかり考えていた時期があった。 その疑問の答えは一生かけても出ないだろう。だけどヒントを与えてくれた猫がいた。 いつもちょっと可笑しな事をやらかしてしまう彼女。 いや、彼女と言っては失礼か。もう結構なお歳のおばあちゃん。僕なんか孫と思われていたのかもしれない。 いい陽気の日には必ず梅の傍の塀の上で日向ぼっこ。だから"ウメさん"と呼んでいた。 2月になり梅が咲く。 それを嬉しそうに眺めていたウメさん。やけに人間じみててどこか微笑ましい。 ウメさんは写真を ...

2019/1/25

この世界の片隅で、ネコ。EP:48「関取」

「関取」 公園そばに住むノリトモさんは太っている。はっきり言ってデブだ。 彼の前で「太っているね」と言うと…何も起こらない。 だが「デブ」と言うと…表情が変化し、つれなくなる。 子供たちから笑われながら「デブ」と言われ続け、バカにされているのが解ったのだろう。 「デブ」は彼にとって禁句だ。 それでも人間嫌いにならないのが彼の性格の良さを表している(子供は嫌いだけど)。とても人懐っこくて明るい。 おなかまで撫でさせてくれる。 運動神経はバツグンで体も柔らかい。アスリートだ。 あっ、太ったアスリートと言えば… ...

2019/1/23

この世界の片隅で、ネコ。EP:47「後継者」

「後継者」 とある小さな神社。 かつて猫の主がいたのだが、ある日姿を見せなくなった。 跡を継ぐように新しい猫が住みつき始めた。まだ1歳くらいの若者様々な猫がやって来ては縄張りを主張し始めるのだが、不思議と喧嘩にもならずに去っていく。 まだ若いから眼中にないのだろうか。なんとか神社の現"主"としてやっていた。 ある日。老獪そうな雄猫が敷地に侵入してきた。若者は見当たらない。しめた、と思っただろう。色々な場所にスプレーし始めた。 賽銭箱や社、台座…いよいよ占領しようとしている。 桜の木の根元にスプレーしようと ...

2019/1/23

この世界の片隅で、ネコ。EP:46「会いたい」

「会いたい」 下町に家屋の一部に併設されている小さな稲荷神社がある。陽当たりの良い場所にあり、そこをお気に入りの場所にしている三毛猫がいた。 寒い日は鳥居を介して神社の屋根にあがりゴロゴロ日向ぼっこしている。 おーい、と呼びかけると屋根から降りてきてくれる気立ての良い猫だ。 この近辺の事情に詳しい人に聞くと500メートル程離れた公園をねぐらにしている猫らしい。猫の移動距離としてはかなり長い。そこまでして遠くの神社に通う理由があるのだろうか。 「あの子はねぇ、お百度参りをしてるんだよ、あはは」 と冗談とも本 ...

2019/1/11

この世界の片隅で、ネコ。EP:44「秋桜」

「秋桜」 古ぼけた地蔵堂の隣に家一軒分ほどの空き地があった。秋には一面、色とりどりのコスモスが咲き誇る。 まさに秋の桜だ。 ここは土がむき出しになっているので猫たちの集会所のようになっている。 いろいろな猫がやってくる。 それぞれ花を愛でるようにコスモスをうれしそうに眺める。おなかにハートがあるハートちゃんとシャムネコもどき、ふたりの女の子はコスモス畑で何か語らっている。 恋愛トークだろうか。 ボス争いをしているハチワレも地区最弱のハチも顔を出す。ここはこの地区の猫にとって重要な場所だ。 そのコスモス畑に ...

2019/1/9

この世界の片隅で、ネコ。EP:43「空飛び猫キャサリン」

「空飛び猫キャサリン」 冬の屋根上は暖かい。猫たちは屋根に移動し暖を取る。 だけど太陽はすぐに移動し、日陰になってしまう。 だけどキャサリン(♀)は屋根から屋根へ飛び移り、太陽を追いかける。 「みんな『空飛び猫』とか『ジャンプ猫』と呼んでいるよ」 飼い主さんは笑う。 時に驚くような距離をジャンプ! この街の下町。昔ながらの建物が並び、どこか昭和を思い出させる。 眠りこけた猫がいる屋根なんてとても素敵だ。 キャサリンはそんな町を見下ろして暮らしていた。 けれど大きな地震が熊本の街を襲った。不幸中の幸い、キャ ...

2018/12/28

この世界の片隅で、ネコ。EP:42「しあわせ」

「しあわせ」 下町の入り組んだ路地をアリーという元野良猫が闊歩している。最初は室内飼いだったが、あまりにも外に出たがるので保護された現在も外を自由に行き来している。 アリーの家のすぐ近くにチョビというこれまた元野良猫がいて、よく2階のベランダに座っているのを見かける。こちらは飼い主さんの方針で、保護された現在は完全室内飼いだそうだ。 2匹の野良時代、アリーはチョビのお姉さんのような存在だった。チョビがまだ子猫だった頃、面倒を見ていたらしい。 すぐ近所だがそれぞれ違う環境にいる。まあ、血の繋がりのない姉弟み ...

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