この世界の片隅で、ネコ。

2020/12/22

この世界の片隅で、ネコ。EP:92「おにぎり」

横浜・山手にある外国人墓地。敷地内が一般公開される日があったので久しぶりに訪れた。 洋館が立ち並ぶこの周辺では絵描きさんが熱心に筆を走らせている。 そうだ、もう十年も前の事だ。絵描きさんの団体がエリスマン邸や山手234番館を熱心に描いていた。 そこへ一匹の真っ白い猫がやってきた。普通の白い猫ではなく、絹の様な質感を持ち一点の曇りもない白色の毛を持った猫。僕は見惚れてしまった。美しすぎてうまく表現が思い浮かばなかったので…「美白猫」と名付けた。 横浜、山手、洋館…。美白猫はきっと山手のお金持ちの豪邸で貴族の ...

2020/7/27

この世界の片隅で、ネコ。EP:91「首輪物語」

赤、青、黒、鈴つき、鈴なし…、猫の首輪にはたくさんの種類がある。 黒猫に赤い首輪の組み合わせが個人的に好みだ。あ、白猫に黒い首輪もいいかな…。 そんな風に人それぞれ、猫それぞれ(?)、首輪にはなんだか個性が表れる。 とあるデザイナーさんが飼ってらっしゃる猫、グリちゃんはとても、いや、とてつもなく大きな体をゆすって歩く巨猫。ほぼ同い歳のワンちゃんと一緒に育った猫で性格は狂暴、まるで土佐犬ならぬ土佐猫だ。 こう書くとワンちゃんも狂暴な性格なのかと思われるが、優しくてとても穏やかな性格だ。なぜグリちゃんが狂暴に ...

2020/6/5

この世界の片隅で、ネコ。EP:90「頭上注意」

『のせ猫』ってかわいいなぁ、と、写真集を眺める今日この頃。 説明すると猫の頭や手に「みかん」とか「りんご」とかを乗せている写真集の事だ。完全に『のせ猫』にノックアウトされた僕だった。 親友である猫「ハチ」が誕生日を迎えた。 飼い主さんのお宅へプレゼント(といっても撮りためたハチの私製フォトブックだが)を持ってお邪魔した。昔は荒々しかった気性のハチ。それでいて喧嘩がめっぽう弱いところが実はチャームポイントだ。 最近は歳をとって丸くなったのか自宅で寝ている事が多くなった。 それでも「はっちゃーんあそぼー」とピ ...

2020/6/5

この世界の片隅で、ネコ。EP:89「街のあちこちで発見!こんなところにネコ」

猫は場に紛れる天才だ。僕はこれを「まぎれねこ」と呼んでいる。たとえば。 家と家の間の狭い塀。僕にとってほんとに「へぇー」としか言いようがない。 そうです、ダジャレです。 通勤途中にある塀だから毎日毎日、朝ごはんのおにぎりを食べつつ通り過ぎていた。 いつもどおりの日。 たまたま塀の前で立ち止まり靴ひもを結んでいた。すると2匹の猫が塀の上からこちらを凝視していた。 あれ、いたの!? 視線の先にはおにぎり…。もしかしたら毎日見られていたのかも。まったくわからなかった。 下町の裏路地。 もう閉店した理容室の前で馴 ...

2020/5/1

この世界の片隅で、ネコ。EP:88「距離感」

猫と付き合ううえで大事だと思っていることがある。 それは「距離感」。 はじめて出会った猫に触らせてもらおうとして近付くとほぼ逃げられる。ましてや急いで走りだしたりすると脱兎の如く逃げられる。 基本は足繁く通い「悪い人間」ではないという信頼を得ることだと思う。そしてやっと触らせていただく。これでやっと友達…かな? お寺のクロは飼い猫という事もあって人懐っこく、すぐに友達になれた。 「距離感」は思わず「近い近い!」と言ってしまうぐらいフレンドリーだ。 カメラなんて構えるとレンズに親愛の頭突きをくらわせてくるほ ...

2020/4/16

この世界の片隅で、ネコ。EP:87「狛猫降格」

東日本大震災前の仙台に居た頃だ。近くの神社に猫の親子が居た。 皆、思い思いに違う名前を名付けて可愛がっていた。 有志の厚意で去勢・不妊もすませていた。チョビ母さん、太郎、次郎。そう名付けた。次郎はトラックの荷台で昼寝中に山奥へ運ばれていったが無事に保護され余所で暮らしている。 狛犬ならぬ狛猫。仲良く2匹で昼寝している姿は、しかしどこか神々しかった。 狛犬は魔除けの意味もあるらしい。狛猫は賽銭泥棒くらいなら除けてくれるだろうか…多分、何もせず見てるだけだな。 ある日、賽銭が盗まれる事件があった。それ以来、神 ...

2020/4/16

この世界の片隅で、ネコ。EP:85「黄色い猫の秘密」

下町の古い長屋の愉快な仲間たち。主に黄色系の猫が幅を利かせている。 長屋と家屋の間に小さな通路があるのだが、そこで日がな一日遊んでいる。 皆、仲が良いので冬はくっつきおしくら饅頭、夏は通路のコンクリートにべったり寝そべる。 ヤモリを採ってきては集まって遊び、鳩がいれば全員で「カッカッカッ」と鳴く。ほんとうに仲が良くて見ていて飽きない。 だけど仲間割れとかしないのか、とも思う。たまに喧嘩はあるが決定的な破局は訪れない。なぜだろう? 想像に過ぎないのだが…"多数決"だと思う。 ここの猫たちは皆、似た境遇で育ち ...

2020/3/2

この世界の片隅で、ネコ。EP:83「猫になったら」

もし猫になったら、やってみたいことがある。 屋根の上でおもいっきり昼寝してみたいのだ。屋根で寝ている猫を見ていると「気持ちよさそうだなぁ」と思う。そして思わず「平和だなぁ」と顔が綻ぶ。 そのなかでも瓦屋根なら最高の寝床になるだろう。内に向かって反っているので、そこに猫がとても具合よく収まる。 見事としかいいようがない。 そして冬の瓦はあったかい。お日様の熱をたっぷり蓄えているのだから。素晴らしい昼寝が出来そうだ。 日向とともに移動する猫の姿は見ていて微笑ましい。あれ、猫はたぶん無意識で動いているように思え ...

2019/9/13

この世界の片隅で、ネコ。EP:82「捨て猫奇譚」

あるお寺にとてもハンサムな猫が捨てられた。 なぜこんなに素敵な猫が捨てられたのか分からない程だ。それぞれの家庭には事情があるのは承知しているが…。 通る人通る人に何かを訴えかける。 「おなかがすいたよう」 「誰か拾ってくれよう」 と言っているようだった。とにかく捨て猫は許されない。しかし僕だって同罪、傍観者だった。その事についてはとても今でも心苦しい。 だけどハンサムな猫。何日かして飼ってもいいという里親さんが現れた。関係者全員で喜んだ。キャリーケースにもすんなり入り、彼は新天地へ出発。 しかし。 程なく ...

2019/9/13

この世界の片隅で、ネコ。EP:81「深読み」

川沿いのすみっこで暮らしている猫たち。 皆どこか自信なさげな面構えだが、そのぶん気持ちが優しい猫たち。たぶん餌が豊富な中心地ではやっていけない猫たちが自然に集まってきたのだろう。 みな肩を寄せ合って生きてる感じがする。その中心にいるのが、クロオ。賢くて頼れるリーダーだ。 しかしだんだんと集団から離れる猫を見かけるようになった。チャロというオス。 いつのまにかポツンとひとりでいて輪の中心を見ている。自分から孤独を選んだのか追いやられたのか…。 リーダーがそれを放置することはなかった。とにかくチャロに付きまと ...

2019/8/30

この世界の片隅で、ネコ。EP:80「花より男子」

屋の屋根から屋根へジャンプし移動する猫たち。彼らは夏以外は地上に降りる事が少ない。日がな屋根上で日向ぼっこをして、陽が移動すれば屋根を伝って日向を追いかける。 猫たちの身長からして落ちたら怪我では済まないような高さをジャンプする。彼らの身体能力に驚きを隠せない、ちょっと人間では考えられない。 だけどごく稀に際どいジャンプをする猫がいて…チャコ(雌)と呼んでいた子だ。 チャコはおとなしめの性格で体格も普通。標準的な猫だ。しかし、あまりジャンプが得意ではない。 いつだったか、ギリギリの距離を飛ぼうとした。この ...

2019/8/23

この世界の片隅で、ネコ。EP:79「コンプレックス」

「らっしゃい、らっしゃい」 そんな懐かしい声が聞こえる商店街の八百屋に看板猫がいた。いや、看板猫というより客引き猫か。 彼女を触ったり話しかけたりしているうちに、ああ、そういえばネギ買い忘れていたな…という具合にうまく商売に繋げる、そんな猫。 実は彼女には尻尾がない。過去に虐待を受けて切られてしまったそうだ。当然ながら、人間を怖がるようになった。また尻尾がないのがコンプレックスになっているのか、他の猫も避けるようになった。彼女はひとりぼっちだった。 そんな彼女に我慢強く接したのが八百屋のおかみさん。人間も ...

2019/8/6

この世界の片隅で、ネコEP:78「幻の猫」

もう一度会いたい猫がいる。 5年ほど前に出会ったある猫。 お寺の敷地にちょこんと座っていた。何気なしに2枚、写真を撮った。そして近づくと逃げて行ったのだが…まあ、よくある話だ。 その写真を帰宅して見てみると…ちょっとビックリした。 とある国家のとある独裁者にそっくりな髪型をしていた!顔もまあ、なんというかブサカワイイ。 それから50回くらいは通い捜索したのだが…全くなしのつぶて。是非とも再会したいので未だに探している。 2年程前、東京の下町を何気なしに歩いているとニャーと声を掛けられた。 振り返ると白黒の ...

2019/7/31

この世界の片隅で、ネコ。EP:77「母は強し」

長屋の猫たちのなかで最も美しい三毛猫。美しいがゆえ孤独だ。最初はその美しさから高嶺の花と思われ孤独なんだと思っていた。 女王然としていて近寄りがたいオーラを醸し出していた。 だけど見てしまった…彼女の恐ろしい面を。 長屋の黄色猫がのほほんと日向ぼっこしていた。あー気持ちいい♪ そこへ三毛猫がやって来た。なぜか初めから黄色猫にいちゃもんをつける様に威嚇する。シャー! 当然、黄色猫は"?"となっていた、が、次の瞬間。バチーン! ものすごい左ストレート猫パンチを三毛猫が繰り出した。黄色猫は見事にKOされた…。 ...

2019/7/25

この世界の片隅で、ネコ。EP:75「長屋の猫たち」

時代から取り残されたような古い長屋がある。そこに住む猫たち。古いから鼠が出るそうで猫はかかせないんだとか、つまり立派な"職業猫"だ。 彼らは長屋をよく知り尽くして、日々パトロールをしている…というか遊んでいるだけだけど。 特に彼らが集まるのが二階にある木製の物干し台。西日が当たり太陽が気持ちいい。ここで居眠りを決め込んだりじゃれあったり…あんまり働いてないな。 長屋の方が洗濯物を干しに来てもお構いなしで微動だにしない。猫もよくわかっていて洗濯物に悪戯する事はない。 長屋の方もそれをわかってらっしゃるので特 ...

2019/7/18

この世界の片隅で、ネコ。EP:72「猫の細道」

小学生の頃、体育の授業で平均台に登った方も多いと思う。僕は平均台が苦手だった。とにかくバランス感覚がないのだ。よろけて落っこち、笑われる。 ついでに高い所も苦手だ。いわゆる高所恐怖症。東京タワーとスカイツリー、どちらも登ってはみたが怖いばかりで楽しくなかった…。 僕の苦手なふたつを得意とする存在、それは…もうお分かりだろう。そう、猫。 ノリにはお気に入りの場所がある。3軒隣にある空き家のベランダだ。よくここで昼寝を決め込んでいる。 地上から「おーい」と声をかけてもしらんぷり、熟睡している。空き家だからだれ ...

2019/7/12

この世界の片隅で、ネコ。EP:72「猫になったら」

もし猫になったら、やってみたいことがある。 屋根の上でおもいっきり昼寝してみたいのだ。 屋根で寝ている猫を見ていると「気持ちよさそうだなぁ」と思う。そして思わず「平和だなぁ」と顔が綻ぶ。 そのなかでも瓦屋根なら最高の寝床になるだろう。内に向かって反っているので、そこに猫がとても具合よく収まる。 見事としかいいようがない。そして冬の瓦はあったかい。お日様の熱をたっぷり蓄えているのだから。素晴らしい昼寝が出来そうだ。 日向とともに移動する猫の姿は見ていて微笑ましい。あれ、猫はたぶん無意識で動いているように思え ...

2019/7/12

この世界の片隅で、ネコ。EP:71「おそ松くんたち」

ここは古い長屋、昭和の面影が色濃く残っている。飼われている猫たちもどこか昔ながらの雰囲気がある。 その中に茶猫が4匹いた。血縁なのだろう、皆いつも一緒、仲も良い。性格まで似ている。 虫を採ってきては皆で遊び、ごはんも皆で食べ、そして皆で一緒に眠る。まるで「おそ松くん」みたいな彼ら。 名前もそれにちなんで「一松」「二松」「三松」「四松」と呼んでいた(ちょっと適当だね、いやかなりか)。 そんな彼らの長屋に美しい三毛猫がやってきた。おそ松くん達は皆、色めき立った。好みのタイプまで一緒…可笑しい。 当然、お付き合 ...

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