猫一匹拾っても、世界は変わらない。でもその猫と家族にとっての世界は、まったく違うものになる。 実話を元にした猫小説、連載第8回。仕事でフランスに旅立った「プ」と電話が繋がらず、いぶかしむ「ラン」。翌日かかってきた電話に涙する「ラン」を見て、「わたし」は確信する。どうでもよくないことが起きている。 ランが言った。 「テンコ。明日から俺は遠くに行くから、今からあなたとボンビを猫専用のペットホテルに預けなければならない。 迎えに来られるのは何日後になるかは分からない。キャリーケースに入るのも、よそで過ごすのも嫌 ...