この世界の片隅で、ネコ。EP:5「午後にだけ現れる彼ら」

「午後にだけ現れる彼ら」

美しい猫がいた。
青い目、シャム猫のような毛並み、チャームポイントのボブテイル……。
そう、高貴な猫。

そしてその美しい猫に寄り添う、ボディーガードの様な精悍なもう一匹の猫。

彼らは午後にだけ現れる。
不思議な事に午前中はどこで何をしているのか全く判らない。
美しい猫達はあざ笑うかの如く、いつも高い場所から僕を見下していた。

 

だけど。

見てしまった、午前中の彼らを。
彼らはゴミ集積場で食事をしていた。
つまりゴミを漁っていた……(ゴミは朝出されるからね)。

その時、美しい猫と目が合った、合ってしまった。

 

あくる日。

彼らはもう高い場所に居なかった。

ニャーニャー言いながら僕に近づいてくる。
ああ、なんか悪かったね。
あの現場を見た事で彼らのプライドは粉々になったのか、開き直ってしまったんだ。

あれ以来、僕の操るねこじゃらしに楽しそうに飛びつく美しい猫たち。

もちろん今でも高貴な頃の面影は残っている。
けど美しい猫様、相変わらずお美しいですねと問いかけても反応はない。

text&photo/Kenta Yokoo

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