この世界の片隅で、ネコ。EP:3「ゴッド・マザー、ミケ」

「ゴッド・マザー、ミケ」

かなりお年寄りの三毛猫がいる。
通称ミケばあちゃん(そのままだ)。

人間の言葉を解している様で、いわゆる「猫股」なのだろう。

この地区の長老なのでいつも
「こんにちは。お世話になりますよ」
と仁義を切りご挨拶をすると

「ニャー」と必ず挨拶を返してくれる。

ばあちゃんに逆らうと大変な目に遭う。

とある若い雄猫がばあちゃんを軽く小突いた。その時は何も起こらなかったのだが、数日後、その雄猫はまわりの猫達から総スカンをくらい無視された。

「あーあ、この地区の掟を知らなかったんだね」とでも言われてるように。

雄猫はしばらく謹慎、後に謝罪したのか無視は解かれた。

 

そんなばあちゃんに一度迷惑をかけた事がある。

どアップ写真を撮ろうとしてレンズをぶつけてしまった。

するとどうだろう、前述の雄猫のように、どの猫も僕を見るとそくさと逃げるようにどこかへ行ってしまうようになった。

やってしまった。
ここは素直に謝るしかない。
ばあちゃん様、ゴメンナサイ。
二度としません。

ニンゲンの言葉を解すばあちゃん「ニャン」と鳴いた。

猫に何かを与えることは滅多にしないのだがお詫びに"ち〇~る"を献上。しばらくして総スカンは解かれ、ばあちゃんの機嫌も直った。

あの時は本当に肝を冷やした……。

この地区のゴッド・マザー、ミケばあちゃんを侮ってはいけない。

text&photo/Kenta Yokoo

-コラム
-,