この世界の片隅で、ネコ。EP:72「猫の細道」

小学生の頃、体育の授業で平均台に登った方も多いと思う。僕は平均台が苦手だった。とにかくバランス感覚がないのだ。よろけて落っこち、笑われる。

ついでに高い所も苦手だ。いわゆる高所恐怖症。東京タワーとスカイツリー、どちらも登ってはみたが怖いばかりで楽しくなかった…。

僕の苦手なふたつを得意とする存在、それは…もうお分かりだろう。そう、猫。

ノリにはお気に入りの場所がある。3軒隣にある空き家のベランダだ。よくここで昼寝を決め込んでいる。

地上から「おーい」と声をかけてもしらんぷり、熟睡している。空き家だからだれにも邪魔されない。

あれ、だけど…どうやってここに辿り着いたんだろう?

しばらくして、ノリはふぁーっとアクビしてからストレッチ。いよいよ動き出す。

すると…。

ノリは空き家に接している高さ4メ―トルはあるフェンスの上を歩き始めたのだ。

歩ける幅なんて20cmくらいしかない。だけど悠然と歩いていく。なんていうバランス感覚、そして勇気…。

落ちないか心配で見ていたが歩様が乱れる事もなく自宅のベランダへ帰っていった。僕は?然としたが同時に感動もした。

猫ってなんてスゴイんだ!

4メートルの平均台を悠々こなす。猫のオリンピック(ネコリンピック)があればきっと金メダルだ。

しばらくして地上を散歩するノリ。ノリさんすごい…と思っていたら犬に吠えられ脱兎の如くどこかへ消えていった…。

かっこいいやら、なさけないやら…まあ、そんなところも魅力なんだけどね。

TEXT&PHOTO/KENTA YOKOO

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