この世界の片隅で、ネコ。EP:63「8の子分、0くん」

「8の子分、0くん」

ひょんな事から飼い猫になったハチ(雄)。

背中に"8"の模様があるので名付けられた。

そんなハチに子分が出来た。ハチの飼い主さんは名付けた…ゼロ(雄)と。もちろん背中に"0"の模様があるからだ。

ゼロはハチにべったりついてまわる。ハチもなにか縄張りを案内しているようで、"ここからはチャトラの縄張りだ"とか"この家のばあさんは猫嫌いだから気を付けろ"

とか教えている。しかし…。

ゼロ、ハチにけっこう似てるなぁ…。

飼い主さんによると、ある日突然、ゼロを連れて家へ戻って来たらしい。それ以外はわからない。

そういえば、ハチは地区最弱の猫。最近はライバルのいない通りの向うにいて、餌と寝る時に帰ってくる。ならばハチについて行ってみよう。ハチ、ゼロ、ボク。3匹が一列に歩き向う側へ。

すると。

「あら、ヒョットコ」

と声をかけられた…ヒョットコって誰、まさかボク?ではなくハチのことだった。よかった…。

そのおばさんはハチたちの面倒をいろいろ見てるらしく、地区の猫事情に詳しかった。結論から言うとゼロはハチの息子ではない。この辺りのブチ猫が産んだ子だそうだ。しかし母猫はどこかに行ってしまったらしく、たまたま居たのがハチ。

みなし子、ゼロは自分によく似たハチを親に見立てたのだろうか…。

飼い主さん家でハチと一緒に眠るゼロ。まるで本当の親子だ。

"親分、親分!"だろうか"父ちゃん、父ちゃん!"だろうか。

ハチを追いかけるゼロ。ハチも子分ができ、まんざらではなさそう。よりにもよって地区最弱の猫の子分になるとは…鳶が鷹を産むか注目だ。

text&PHOTO/Kenta Yokoo

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