この世界の片隅で、ネコ。EP:45「ひょっこりにゃん」

「ひょっこりにゃん」

『深淵を覗き込むとき、深淵もまたこちら側を覗き込んでいるのだ』

という有名な言葉がある。これはまさに猫にピッタリあてはまる。

ネコの写真を撮っていると、ふとした時に視線を感じる事がある。

そんな時、そちらを向くと…

「チラッ」

と見知らぬネコと目が合う。大体、塀越しに見られていたことが多い。

「ジーッ」

と見つめ合ってはいけない。手を添えてこちらを観察していたネコは凝視されると

「ヒョイッ」

と塀の下に引っ込んでしまうのだ…。恥ずかしがり屋さんめ!

ある日、やはり視線を感じた。チラッと一瞥すると初めて見る白猫が僕を観察している。そういう時はすぐに目を離し、後ろを向く。そして携帯電話なんか取り出して"あれ?おかしいな"とか言いながら操作するフリをする。

後は暫く待って…ゆっくり…

「ソロリ」

とあわてずに振り返ると…いなくなっている!

何をしても半分くらいは最初に目が合った時点で逃げられてる。

たま~に「ニョッキリ」

と再び顔を覗かせる事もある。わ!嬉しい!と慌ててカメラを向けると

「ビュッ」

凄い勢いでまた隠れる。もぐらたたきじゃないんだから…。

『ネコを覗き込むとき、ネコもまたこちら側を覗き込んでいるのだ』

かの言葉はそうとも言えるかもしれない。

text&photo/Kenta Yokoo

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