雨の夕方、行き倒れのようにやってきた黄色い猫。夫婦は猫を放っておけず、最期を看取るつもりで、家に入れた。 窓から差し込む光が、ふっさりした黄色い毛並みを輝かせる。名を呼べば、甘えを帯びた目で見つめ返す。 安心しきったその姿にいとしさがこみ上げながら、ひとみさんは思い出す。 この子がここにたどり着いたときの、衰弱しきったよれよれの姿を。 それは、3年前の5月の夕方だった。 「黄色い猫がよたよた玄関までついてきちゃったんだけど。かなり衰弱してる」 先に帰宅した夫の邦彦さんから、そんなメールをひとみさんが受け取 ...