この世界の片隅で、ネコ。EP:28「眼力」

「眼力」

公園のすぐ近くに高齢の白猫が住んでいる。

通称、ヨーダばあちゃん。

映画「スターウォーズ」の登場人物(男性)から名付けられた。

ばあちゃんだからメスなのだが…。

ヨーダばあちゃんの眼力は半端ない。同居するノリトモという猫は随分な悪戯好きだがヨーダばあちゃんには頭が上がらない。

その眼で睨まれると猫も人間も委縮してしまう。

おばあちゃんだから行動範囲は広くない。公園にやってきて日向ぼっこするぐらいだ。

ウトウトしてる時は眼力は封印されるのだが…伊達に歳はとっていない、どこか瞑想してるように見える。

その目でいろんなものを見てきた。

きっと良いことも悪いことも。

なにもかも悟っているかのような眼。

僕はその眼が好きだ。

公園だから子供が多い。猫は子供嫌いだがヨーダばあちゃんの歳になると動じない。

「猫ちゃんだ!猫ちゃんだ!」

昼寝していたところを子供に乱暴に触られる。ばあちゃんは目を瞑り触られるがまま。

まるで孫の面倒を見てるようだ。

そして眼を開け、子供を優しく見つめる。

しかし…。

「この猫ちゃん、怖い~!」

と言われ逃げられてしまう。

あの時のヨーダばあちゃんは少し、いや、かなり傷ついた顔をしていた…。

今日もヨーダばあちゃんはその眼力で世の中を見渡している。

text&photo/Kenta Yokoo

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