この世界の片隅で、ネコ。EP:18「はてにゃん」

「はてにゃん」

下町に猫の集まる細い路地がある。

路地を忙しそうに行きかう猫、暇そうに寝たり起きたりしてる猫、様々だ。

その中にボブテイルのハチワレがいた。

なにかニャーニャー言い訴えているので「なに?」と声に出して聞くと

「?」

と首をかしげる。

いや、あなたが何か訴えてきたのでは…。

面白いので「なに?」と聞くとまた「?」と首を傾ける。

面白いなこの子…。

しばらく観察していると友達が多いようで度々、鼻と鼻をくっつけ挨拶していた。

すぐ近くのクリーニング屋さんに聞くと「ああ、首を傾げるのがカワイイよね」と仰っていた。

それから間をおいて

「たぶん捨て猫だろうね、人に慣れてるから…」。

「大変だったね」と声をかけると

「?」

と相変わらず首を傾げる。

ごめんよ、人間の言葉なんて解りたくないよね。人間の勝手な都合で振り回したんだからね。よしよし、をしようと思って手を差し出すと

「ニギャ―!」と猫パンチ。

そんなあ…。

そりゃ突然手を出したからビックリしたのだろうけど…。

「ごめんなさい」

と、いろいろ込めて誠実に謝ると、やっぱり首を傾けて「?」とやる。

そして友達の方へタタタと駆けていった。

変わった猫だなぁ。

僕も「?」となってしまった。

text&photo/Kenta Yokoo

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