この世界の片隅で、ネコ。EP:16「ウナギネコ」

「ウナギネコ」

ワンレンって随分昔にあったなぁ…と思い出させる顔つき。

鰻屋の猫は個性的な顔立ちだった。餌は余った鰻!冬の間は店の玄関で日向ぼっこ。悠々自適に暮らしている。

でもワンレン、鰻のようにぬるぬるして掴みどころがない性格だった。

じゃれたと思えば噛みつき、噛みつかれたと思えばじゃれてくる。叱ってもふーんという時もあれば深刻に反省している時もある。

餌が鰻だからそうなったのか…。

その彼のもとに一匹の放浪猫が現れた。

初対面で意気投合したのかとても仲良しになり、鰻屋の猫は2匹に。

じゃれあったり軽くジャブの応報をしたり…眠る時は猫団子に。

そしてだんだんとワンレンに性格が似てくる。

やはり鰻を食べると掴みどころのない性格になるのか…。

夏。

土用の丑の日、繁盛するお店の玄関にはいられないので近くのビルの谷間に2匹はいた。

鰻の寝床…。

そんな彼らはある日突然出奔。放浪猫は一時滞在のつもりだったのだろう、ワンレンもそれについて行ったと思われる。

鰻は太平洋を回遊するとか。

さしずめ彼らも回遊の旅にでたのか…。どこまで鰻なんだろ。最後まで掴みどころがなかったなぁ。

そういえばウナギイヌっていたな。ならば彼らはウナギネコだ。

鰻の生態は謎に包まれているが、猫だって謎だらけだ。

text&photo/Kenta Yokoo

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