その子に会えるのは、いつもの場所、いつもの時間、下町のとある空地。 午後5時。町内無線から「夕焼け小焼け」のメロディが鳴り始める。そこでサチコが待っている。 「ミャ―」 挨拶のように鳴く三毛猫。こちらも「ニャー」と鳴きまねして頭をなでる。 休みの日の午後5時になると、サチコに会いに行くのが習慣になっていた。 特に餌とかおやつをあげるという訳ではない。ただ、そこに行き遊んだり膝の上にサチコを乗せて30分くらい撫でるだけ。 夕焼けに赤く染まるサチコと僕。そういう関係だ。 まるで午後5時を告げる時計の様な、休日 ...