この世界の片隅で、ネコ。EP:95『箱入り娘』

公園のすぐそばにあるお宅の出窓。網戸越しに

「あっ、きれいな猫の置物があるな」

と思って近づくと…動いた、というか消えた。そう、本物の猫だった。

かなり小柄で華奢な体にフカフカの毛。これは相当、気品高い猫のようだ。しばらく公園で時間を潰しまた出窓を見ると『置物』のような気品高き猫はじっと鎮座している。目が合った。あ、もう驚かさないからね…と言う前にまた消えた。相当、人見知りで臆病な子。きっと外に出た事が無い"箱入り娘"なんじゃないかな。大事にされてるんだろうな。

別の日、いつもの公園。また出窓を見ると…いない。ああ、残念…と思ったらお向かいの家のお庭に居た。居たどころかその家の猫をぶん殴っていた!そしてゴハンを強奪してガツガツ食べてるではないか。

あれれー…イメージ大崩壊。

しばらくすると"箱入り娘"のお宅のドアが開き

「これっ!また脱走して!!お家帰るわよ」

と言い放ちお向かいさん家のベルを鳴らして「いつもすみません」と"箱入り娘"を確保。

お話を聞いてみると、置物の様な華奢な見た目とは正反対、相当プライドが高く(ここは気品が高いと言える?)、

"俺のものは俺のもの お前のものも俺のもの"

という気性で、周辺のお宅の猫をいじめる為に外に出さないようにしているそうだ。

くびねっこをつかまれ悪びれない表情。ペロッと舌を出してもおかしくない。別の意味での"箱入り娘"だった…。

人は見た目が9割という。猫も見た目が9割だとすると…そのうちの1割のほうだったのね。

写真・文 横尾健太
Twitter 猫島警部 @nekojimakeibu

熊本市在住。1999年より細々と猫写真を撮り始めて今では太々と猫に浸かる。2016年熊本地震で被災、一時的に東京へ避難。その先で様々な人と猫に癒されお世話になる。「ネコまる大賞」「猫の手帖キャネット大賞」「よみうり写真大賞ファミリー部門季節賞」受賞。使用機材:通常はニコンのD800、旅先はペンタックスのKP、夏はニコンのnikon1 J5。でも機材にこだわりはありません。

プロとはそれで生活できる人だと思うので、アマです。なにもかも脇が甘い性格。写真におけるスタンスは皆無です。猫さまを見ると興奮して「あ、あ、あ」となり何も考えずにシャッター切ってます。「猫を使って金儲け」よりも「金を使って猫儲け」したいな。いろんな猫に出会いたいです。

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