この世界の片隅で、ネコ。EP:69「ハンター、フサ子」

猫は虫が好きだ(勿論それぞれ好みがあるだろうが)。飛んでる虫を捕まえようとして失敗する、猫好きならそんな場面に出会った事があるだろう。

そんな時、猫は「なかったこと」にして「僕は関係ないよ」と泣き笑いの様な顔をする。

下町のお寺で暮らす猫。フサフサの毛なので単純に「フサ子」と勝手に名付けた。

お寺の方によると昔は頻繁にネズミやヘビ、虫を採ってきては皆に見せて自慢していた。相当のハンターっぷりだ。

しかし子供が出来てからのフサ子は日がな一日お寺の境内で寝て過ごし、子供の世話を焼いたりしている。

今日もぐうぐう。いつも通りの一日のはずだった…が。

眠っているフサ子の前に立ちふさがるようにしてカマキリが出現した(というか偶然、通りかかった)。

フサ子が目を覚ます。半分寝ぼけていて事態が飲み込めてない。カマキリからしたらたまったもんじゃない。とにかく鎌を持ち上げフサ子を威嚇する。

一瞬、目をぱちくりさせて"ハンター"の表情になった。危うし、カマキリ!

するとフサ子は…なにもしなかった。

ただただカマキリを見つめるだけでなにもしない。暫く流れる沈黙、しばらくそうしていたか、すると。

次の瞬間、カマキリは鎌をふるった。フサ子の鼻にバシッとヒットした!ああ…いよいよ反撃か?

しかしフサ子は

「いたーい!」

という表情をして一目散に逃げて行った…。なんとカマキリに負けた。ハンターの面影なんて微塵もなかった…。

後日その事をお寺の方に話すと、

「まるくなったなぁ」

そう呟いて苦笑してらっしゃった。

ハンターの名は返上。だけど母になって慈母の精神を得たんだね。母は強し。

TEXT&PHOTO/KENTA YOKOO

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