
港で今日も大漁祈願
宮城県田代島
Photo & Text by Yoshizawa Rumiko
今回は「ひょっこりひょうたん島」のモデルの一つと言われる小さな島、日本の「元祖・猫島」へ、5年振りのぶらり旅です。

石巻、田代島、網地島、鮎川を結ぶカーフェリー、マーメイドⅡ
島に向かうフェリーは猫目当ての観光客で満員御礼! その半分は海外からのお客さん。今や、世界から注目され、愛される猫島。連休ともなると1日500人が訪れ臨時便の船が出るほどなんだとか。

観光客のお姉さんに遊んでもらう
元来、漁業が盛んな島でしたが高齢化が進み、住民数は減少。現在、観光発展を支える存在となっている猫たちといえば……相変わらずマイペースでした。

獲物争奪戦ひとり勝ち? 心優しい釣り人は「島のえき」のスタッフ
島全体の猫の数は200匹弱。猫たちとのふれあいを楽しめる島一番の猫ホットスポット「島のえき」には70匹程が暮らし、集落を股に掛けて活動的に暮らしている猫たちもいます。東日本大震災で被害に遭った港の整備や護岸工事は終わり、猫と共に復興と再生を目指す「田代島にゃんこ・ザ・プロジェクト」で、小中学校の跡地を活用して運営を始めた休憩所兼お土産処の「島のえき」は、その目的の達成により解散。令和4年より「合同会社くらしごと」へ運営が引き継がれ、人と猫が共存し続けられる島の未来を目指しています。

お隣の網地島にも足を延ばしてみて。田代島とはまた違った趣の猫たちに出逢えます
この日、ドイツ在住の獣医師、クレス先生率いる「Dr.クレス医療チーム」5人の来島に立ち会うことができました。猫を次々と触診し、健康チェック。風邪っぽい猫やケンカで傷を負った猫には抗生剤の注射を、涙目の猫には目薬を……と迅速かつ正確な診察、治療が進みます。

「島のえき」代表の犬塚恵介さんと、看板猫として人気急上昇中の茶々丸。
「島のえき」X(Twitter):@shimanoekikrsgt
絶妙な連携プレーで、猫たちが安心して診療を受けられるように工夫されていて、その驚くべき手際の良さに猫たちは注射を打たれたことにまるで気が付かないよう。この活動は震災後から継続して行われていて、今回は田代島だけでなくお隣の「網地島」にも足を運ぶとのことで、医療チームの尽力に、ただただ頭が下がる思いでした。

Dr.クレス医療チームは半年に1度、診療に訪れています
自然に囲まれ、島全体がリラックスした雰囲気に包まれている田代島。猫たちが観光客に対しても優しく人懐っこく接してくれるのは、きっと島民たちが日頃から猫たちに注いでいる深い愛情の賜物。猫たちとふれあうひとときは、夢のような時間でした。

港に建つ「田代食堂」には、島の海産物を使ったメニューもあります。冬季期間は不定期営業
Yoshizawa Rumiko
カメラマン。1972年生まれ。独学で写真を学び猫撮影を中心に活躍。猫の自然な姿と個性を捉えた写真を得意とする。『ボス猫メトとメイショウドトウ 引退場牧場ノーザンレイクの奇跡』(辰巳出版)では撮影を担当。最新著作は『にゃんたまω』(日刊現代)。